
音楽性も新装開店のリニューアルに合わせて,ジャズ・ファンク路線から一歩進んだ“無国籍民族音楽”路線へと突き進むのだが,そのアフリカやインドの第三世界的なサウンドビジョンは市場に受け入れられず,しばし低迷していた。
しかし,ついに時代がザビヌル・シンジケートに追いついた! ワールド・ミュージックへの機運が熟したタイミングで「ジャコパスの再来」と称される“天才ベーシスト”リチャード・ボナが加入し,一気に大ブレイク!
『GERMANY TV 1997』は,ついにブレイクを果たしたザビヌル・シンジケート,1997年のドイツ「JAZZ OPEN」出演時のライブDVDである。
ザビヌル・シンジケートの1997年のライブCDともなった「ワールド・ツアー」は,ジョー・ザビヌルが20年ぶりに“首を縦にふった”ライブ・レコーディング。
ジョー・ザビヌルをして「ウェザー・リポートの『8:30』を越えた」と豪語させるにふさわしい充実のライブであった。
確かにリチャード・ボナは凄い。映像で見るとリチャード・ボナの凄さが伝わってくる。何が凄いって? それは特に何もしていないようでいとも簡単にグルーヴを起こしている。音と映像のギャップが凄いのだ。「ええ〜,何このビートは?」という感じにやられてしまう。
一方,音と映像がマッチしていて凄いのがマノロ・バドレーナのパーカッション。マノロ・バドレーナは,ウェザー・リポート黄金期のメンバー。『へビー・ウェザー』収録の【ルンバ・ママ】で,アレックス・アクーニャとの“壮絶デュオ”を果たした名パーカッショニストである。
ザビヌル・シンジケートの“無国籍民族音楽”の要はマノロ・バドレーナである。
パーカッショニストとしてサウンド面での貢献も大であるが,何と言ってもあの“ヴォイス”そして底なしの明るさが肝! マノロ・バドレーナの“野生児の雄叫び”がザビヌル・シンジケート“無国籍民族音楽”のトーンを決定付けていると思っている。
管理人はザビヌル・シンジケートの低迷の要因はジョー・ザビヌルのエゴイストぶりにあったと思う。ソロは決まってキーボードばっかだし,それ以上にジョー・ザビヌルのボコーダーが鼻につく。
何であれ程の音を持っているのにボコーダーがメインなんだよ〜。そんなに歌が必要なのであればウェイン・ショーターに頭を下げろっちゅうの。

管理人は,ザビヌル・シンジケートが久々に“浮上”できたのはリチャード・ボナ以上のマノロ・バドレーナに拠る所が大きいと思っている。
『GERMANY TV 1997』は,独裁者=ジョー・ザビヌルの20年ぶりの“笑顔”が輝いている。この時期のザビヌル・シンジケートは,ウェザー・リポート黄金期の再来であった。
猛獣4人を完全に手なづけ,己の意のままに操るジョー・ザビヌルの“満足げな表情”が微笑ましい。この後,独裁者の笑顔は長続きしなかったのだが,最後の最期まで,我がバンド然,としたジョー・ザビヌルは強かった。
『GERMANY TV 1997』に,偉大なるエゴイスト=ジョー・ザビヌルのピークのひとコマがある。
01. Intro
02. Hamahamada
03. Erdapfelblues
04. Bimoya
05. Eyala
06. Indiscreation
07. My People
08. Carnavalito
JOE ZAWINUL & ZAWINUL SYNDICATE
JOE ZAWINUL : Keyboards
GAY POULSON : Guitar
RICHARD BONA : Bass, Vocals
MANOLO BADRENA : Percussions, Vocals
DAVID HAYNES : Drums
(MUSICAL BOX/MUSICAL BOX 2007年発売/MB-022)
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