
元来,パット・メセニー・グループの音楽の魅力こそ「IMAGINARY」に尽きる。パット・メセニー・グループのアルバムを聴いていると,いつでも映像作品を見ている気分になる。幾つもの情景が浮かんでくる。時空を超えたSFX。
そんな「IMAGINARY」なパット・メセニー・グループが,自分たちのアイデンティティと正面から取り組んだ『イマジナリー・デイ』。
パット・メセニー・グループが激写した「架空の日」にメセニー・ファンは,何を「IMAGINARY」したのだろう?
管理人の場合は,それこそパット・メセニー・グループ史上最高に“はるか彼方へ”と連れ去れた思いがした。想像し得る限りの遠い場所。宇宙の果てへ。ブラックホールを突き抜けてビッグバンの先へと向かう…。
そう。『イマジナリー・デイ』は,管理人の“想像力の限界”を超えてきたのだ。
非クリエイティブで想像力の乏しい管理人ゆえ“想像力の限界”は読者の皆さんよりスケールの小さな例えで恐縮であるが,ついにパット・メセニー・グループが『イマジナリー・デイ』で「IMAGINARY」の“頂点”に達してしまったのだ。
振り返れば『イマジナリー・デイ』は,パット・メセニー・グループのワーナー・ブラザーズ移籍第一弾。ワーナー時代のパット・メセニー・グループの特徴は,芸術作品路線。「ゲフィンはゲヒン(下品)」時代の分かりやすさが薄れている。
今思うと『イマジナリー・デイ』はパット・メセニーの“挑戦作”だったということが分かる。でも当時は「パット・メセニーって,ジャズ・ギタリストというより音楽家なんだな」と生意気にも思っていた自分が恥ずかしい。
そう。管理人の中にワーナー=芸術路線が強くスリ込まれた要因は『イマジナリー・デイ』。“難解で今でも理解不能な”『イマジナリー・デイ』の印象が強烈すぎたのだ。繰り返し聴いたけど,やっぱりどうにも難しい。「IMAGINARY」の頂点を成す芸術作品。それが『イマジナリー・デイ』の真実なのだ。
では,緻密に計算されたSFXの大作をライブにかけるとどうなのか? その答えがライブDVD『IMAGINARY DAY LIVE』(以下『イマジナリー・デイ・ライブ』)にある。
そもそも自由に「IMAGINARY」するための音楽を,固定イメージが焼きついてしまう目で見る行為は矛盾と思うが,それでもライブDVDを見て聴いた方が分かりやすい。不思議とDVDを見た後にCDを聴き直した方がイマジネーションが広がるのだ。
パット・メセニーがプロデュース,そしてスティーブ・ロドビーがビデオ演出と編集にあたった『イマジナリー・デイ・ライブ』。他人の手に渡さなかったことで,パット・メセニー・グループが伝えたかった音楽がリアルに迫ってくる。

大音量で奏でられる繊細な主題の表現力! もうグイグイとパット・メセニーのジャズ・ギターに惹き込まれていく!
【THE ROOTS OF COINCIDENCE】が超カッコイイ! パット・メセニーとライル・メイズのツイン・ギターのキメ・ポーズ。スティーブ・ロドビーの頭フリフリはヘッド・バンキング?
パット・メセニー・グループを“イケテル”と思ったのは【THE ROOTS OF COINCIDENCE】が初めてである。【THE ROOTS OF COINCIDENCE】の“ルーツ”は『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』だ〜!
PS 若き日のライル・メイズは「嵐のマツジュン」に似ている?
01. Opening Credits & Setup
02. into the dream
03. follow me
04. a story within the story
05. imaginary day
06. heat of the day
07. across the sky
08. the roots of coincidence
09. message to a friend
10. september fifteenth
11. band introductions
12. minuano (six eight)
PAT METHENY GROUP
PAT METHENY : Acoustic, Electric & Synth Guitars
LYLE MAYS : Acoustic Piano, Keyboards, Guitar
STEVE RODBY : Acoustic & Electric Bass
PAUL WERTICO : Drums
MARK LEDFORD : Vocals, Trumpet, Percussions, Guitar
PHILIP HAMILTON : Vocals, Trumpet, Percussions, Guitar
JEFF HAYNES : Percussions
(パイオニアLDC/PIONEER LDC 2001年発売/PIBJ-1003)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
★特典映像:パット・メセニー・インタビュー
(ライナーノーツ/熊谷美広)
★特典映像:パット・メセニー・インタビュー
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