『FOURPLAY』の4曲目は【MOONJOGGER】(以下【ムーンショガー】)。

 【ムーンショガー】の凄さに気付いた時の衝撃とは,それこそ「椅子から転げ落ちそうになる」くらい。これぞ「超ウルトラ・スーパー・フュージョン・グループ」フォープレイの真骨頂! ← 変な日本語ですよね。凄いが伝わればどんな表現を入れてもOKです。

 もはや【ムーンショガー】はアレンジなのか,インタープレイなのか,判別できないレベルの静かで濃密な展開。
 序盤はキーボードボブ・ジェームスギターリー・リトナーによるユニゾンやら掛け合いでスタートしていくが,2分38秒からはボブ・ジェームスキーボードネイサン・イーストスキャットによるコール・アンド・レスポンスが自然発生的な「ボール交換」に聴こえてならない。

 【ムーンショガー】のハイライトは,ズバリ,4分13秒からのギターベース組とキーボードドラム組での,2箇所同時スタートなユニゾンにして,その2つのユニゾンが1つの音楽を奏でる瞬間にある。
 4人が2パターンに分かれて演奏しているのに,その2チームの耳は同じチームのパートナーの音だけではなく,同時並行しているはずの2人の音ともシンクロしている。

 リー・リトナーネイサン・イーストのユニゾンは分かりやすいが,その裏ではボブ・ジェームスキーボードだけに合わせる感じでハービー・メイソンドラムが「コンマ何秒の世界で」見事な動き出しを決めている。普通こんなの有り得ないでしょう!

 テーマを全部演奏し終えた4分43秒からは4人がラフに流していく。本当はここはカットしてもいい部分だと思うが,この辺りの4人の動きが凄すぎて,プロデューサーもカットできなかったのだろう。
 実に細かで優雅で正確なバルセロナ並みのパス交換が続いているから,終わるに終われないし,カットするにカットできない。誰かが発した一音に残る3人が瞬時に反応して「音ではなく音楽を」,それもバンドとしての「音ではなく音楽を」演奏している。
 本当は1人ずつ詳しく紹介しないといけないレベルのスゴ技なのだが,この部分は本編終了後のロスタイムでの余興ということで…。

 
FOURPLAY
BOB JAMES : Keyboards
LEE RITENOUR : Guitars
NATHAN EAST : Bass
HARVEY MASON : Drums

FOURPLAY-1
FOURPLAY
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