この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
ジャック・デジョネットが素晴らしいのは分かっている。問題は「トリオ・ビヨンド」でどっちに振れるか,ただそれだけである。
「トリオ・ビヨンド」でのジャック・デジョネットは,キース・ジャレット・トリオでもなければスペシャル・エディションのどたらの側にも振れていない。
2枚組ライブ盤『SAUDADES』(以下『サウダージズ〜トニー・ウィリアムスへのオマージュ』)でのジャック・デジョネットは「トリオ・ビヨンド」のコンセプト通り,ジャック・デジョネットが忠実にトニー・ウィリアムスに寄せている。
ここでのドラミングは進化したトニー・ウィリアムスそのものであり,進化したジャック・デジョネットと呼ぶことのできる素晴らしい演奏である。
「トリオ・ビヨンド」とは,ドラムのジャック・デジョネット,オルガン&エレクトリック・ピアノのラリー・ゴールディングス,ギターのジョン・スコフィールドによるトニー・ウィリアムスへのオマージュ・プロジェクト。
セットリストを見てみるとトニー・ウィリアムスの全世代を網羅してはいるが,そこは敢えて組んだオルガン・トリオ。バッチリと「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」時代のトニー・ウィリアムスにフォーカスしている。
『サウダージズ〜トニー・ウィリアムスへのオマージュ』におけるジャック・デジョネットのドラミングが超強烈であって,ジャズ・ロックっぽい8ビートが主体の中でも高速4ビートで叩き出すアブストラクトなリズムに悶絶してしまう。
盛り上がるとテンポレスになっている風に聴こえるのだが,ラリー・ゴールディングスとジョン・スコフィールドのブチ切れた演奏を前にすると,ジャック・デジョネット1人がCOOLにバランスをとってみせるのが熟練だよなぁ。
ズバリ「トリオ・ビヨンド」の主役は,ジャック・デジョネットでもジョン・スコフィールドでもなくラリー・ゴールディングスであろう。
ラリー・ゴールディングスのコンテンポリーを感じさせる正統派のオルガンが「トリオ・ビヨンド」の確たるイメージを描いている。
現代風のオルガニストとしてはラリー・ゴールディングスの他にサム・ヤエルの名も浮かんだが,ベーシストを兼ねたオルガニストとしては,ギターとのコンビがハマル,ラリー・ゴールディングスだったから!
ジャムで天下を獲ったジョン・スコフィールドが,ラリー・ゴールディングスの描き出すオルガン・トリオの最前線で縦横無尽の動きを聴かせてくれる。
ジョン・スコフィールド絶品のジャム・フレーズが健在であって,タメを効かしてアウトしまくるギターが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」を完璧に弾き切った「トリオ・ビヨンド」として,ハイ・テンションなのにラフな味わい,を120%で具現化している。
「トリオ・ビヨンド」は「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」のオマージュを名乗ってはいるが,その実,本気で本家を意識してやってんのか?ってくらいジャック・デジョネット,ラリー・ゴールディングス,ジョン・スコフィールドの3人が3人共に自分の音を鳴らしている。
ソウルという枠で語られることの多いオルガン・トリオに「ロック」という領域を開拓させたことが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」の凄さの所以であるが,オルガンが再びブラックの枠に収まっている現代において,こうしてオルガン・トリオの可能性を取り戻した「トリオ・ビヨンド」が本家と同格の意味合いを帯びたと思う。
演奏のぶっ壊れ具合は本家にも負けずアウトローしているし,演奏のまとまり具合は本家にはない整理された美しさを有している。
ジャム・ブームが一段落したこの時代に,斬新で本格的なコンテンポラリー・オルガン・トリオを聴ける幸福に酔いしれる!
CD 1
01. If
02. As One
03. Allah Be Praised
04. Saudades
05. Pee Wee
06. Spectrum
CD 2
01. Seven Steps to Heaven
02. I Fall In Love Too Easily
03. Love In Blues
04. Big Nick
05. Emergency
TRIO BEYOND
JACK DeJOHNETTE : Drums
LARRY GOLDINGS : Hammond Organ, Electric Piano
JOHN SCOFIELD : Guitar
ソロモンの歌7章 王様
マーカス・ミラー 『ザ・キング・イズ・ゴーン』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Trio Beyond — Saudades / Jack DeJohnette, Larry Goldings & John Scofield

「トリオ・ビヨンド」でのジャック・デジョネットは,キース・ジャレット・トリオでもなければスペシャル・エディションのどたらの側にも振れていない。
2枚組ライブ盤『SAUDADES』(以下『サウダージズ〜トニー・ウィリアムスへのオマージュ』)でのジャック・デジョネットは「トリオ・ビヨンド」のコンセプト通り,ジャック・デジョネットが忠実にトニー・ウィリアムスに寄せている。
ここでのドラミングは進化したトニー・ウィリアムスそのものであり,進化したジャック・デジョネットと呼ぶことのできる素晴らしい演奏である。
「トリオ・ビヨンド」とは,ドラムのジャック・デジョネット,オルガン&エレクトリック・ピアノのラリー・ゴールディングス,ギターのジョン・スコフィールドによるトニー・ウィリアムスへのオマージュ・プロジェクト。
セットリストを見てみるとトニー・ウィリアムスの全世代を網羅してはいるが,そこは敢えて組んだオルガン・トリオ。バッチリと「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」時代のトニー・ウィリアムスにフォーカスしている。
『サウダージズ〜トニー・ウィリアムスへのオマージュ』におけるジャック・デジョネットのドラミングが超強烈であって,ジャズ・ロックっぽい8ビートが主体の中でも高速4ビートで叩き出すアブストラクトなリズムに悶絶してしまう。
盛り上がるとテンポレスになっている風に聴こえるのだが,ラリー・ゴールディングスとジョン・スコフィールドのブチ切れた演奏を前にすると,ジャック・デジョネット1人がCOOLにバランスをとってみせるのが熟練だよなぁ。
ズバリ「トリオ・ビヨンド」の主役は,ジャック・デジョネットでもジョン・スコフィールドでもなくラリー・ゴールディングスであろう。
ラリー・ゴールディングスのコンテンポリーを感じさせる正統派のオルガンが「トリオ・ビヨンド」の確たるイメージを描いている。
現代風のオルガニストとしてはラリー・ゴールディングスの他にサム・ヤエルの名も浮かんだが,ベーシストを兼ねたオルガニストとしては,ギターとのコンビがハマル,ラリー・ゴールディングスだったから!
ジャムで天下を獲ったジョン・スコフィールドが,ラリー・ゴールディングスの描き出すオルガン・トリオの最前線で縦横無尽の動きを聴かせてくれる。
ジョン・スコフィールド絶品のジャム・フレーズが健在であって,タメを効かしてアウトしまくるギターが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」を完璧に弾き切った「トリオ・ビヨンド」として,ハイ・テンションなのにラフな味わい,を120%で具現化している。

ソウルという枠で語られることの多いオルガン・トリオに「ロック」という領域を開拓させたことが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」の凄さの所以であるが,オルガンが再びブラックの枠に収まっている現代において,こうしてオルガン・トリオの可能性を取り戻した「トリオ・ビヨンド」が本家と同格の意味合いを帯びたと思う。
演奏のぶっ壊れ具合は本家にも負けずアウトローしているし,演奏のまとまり具合は本家にはない整理された美しさを有している。
ジャム・ブームが一段落したこの時代に,斬新で本格的なコンテンポラリー・オルガン・トリオを聴ける幸福に酔いしれる!
CD 1
01. If
02. As One
03. Allah Be Praised
04. Saudades
05. Pee Wee
06. Spectrum
CD 2
01. Seven Steps to Heaven
02. I Fall In Love Too Easily
03. Love In Blues
04. Big Nick
05. Emergency
TRIO BEYOND
JACK DeJOHNETTE : Drums
LARRY GOLDINGS : Hammond Organ, Electric Piano
JOHN SCOFIELD : Guitar
(ECM/ECM 2006年発売/UCCE-1075/6)
(CD2枚組)
(スリーブケース仕様)
(ライナーノーツ/成田正)
(CD2枚組)
(スリーブケース仕様)
(ライナーノーツ/成田正)
ソロモンの歌7章 王様
マーカス・ミラー 『ザ・キング・イズ・ゴーン』