『J.R.MONTEROSE』の1曲目は【WEE−JAY】(以下【ウィー・ジェイ】)。

 【ウィー・ジェイ】は,テーマを2コーラス吹いた後の,49秒から始まるJ.R.モンテローズの連続スタッカートで「お,お,おっ」と姿勢を崩されてしまう。
 相撲と同じく,一度,バランスが崩されたら,そこから立て直すには時間がかかる。そんな隙を付いてJ.R.モンテローズテナーソロが,雄叫びを上げるようなフレージングでたたみ掛けてくる。

 J.R.モンテローズテナーサックスは,太くて疾走感溢れる低音と高音の独特の節回し,スローなフレーズがゴツゴツして聴こえる。実にユニークなテナーソロに「一発KO」されてしまう。

 J.R.モンテローズテナーソロアイラ・サリヴァントランペットソロホレス・シルヴァーピアノソロウィルバー・ウエアフィリー・ジョー・ジョーンズベースドラムデュエットとメンバーの「顔見せ」的なトラックである。

 そんな中,ホレス・シルヴァーの穏やかなピアノソロが際立っている。ホレス・シルヴァーの場合,どうしてもPOPなメロディー・ラインが飛び出してくることを期待してしまうのだが【ウィー・ジェイ】でのピアノソロは,ホレス・シルヴァーの“リズム押し”である。

 端正でオーソドックスなブロック・タッチの“リズム押し”に,実はホレス・シルヴァーの「正統派」に唸らされる。仮にホレス・シルヴァーに作曲の才がなかったとしても,ジャズ・ピアニストとして十分に活躍できたであろう“リズム押し”が実に素晴らしい。

 
IRA SULLIVAN : Trumpet
J.R. MONTEROSE : Tenor Sax
HORACE SILVER : Piano
WILBUR WARE : Bass
"PHILLY" JOE JONES : Drums

J.R. MONTEROSE-1
J.R. MONTEROSE
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