『RANDOOGA〜SELECT LIVE UNDER THE SKY’90』の1曲目は【SEINE DRAGGING SONG】(以下【磯浦網引き唄】)。

 以前に佐藤允彦の解説を聞いたことがあるのだが【磯浦網引き唄】は,日本民謡の【江差追分】をモチーフとした楽曲とのこと。
 【江差追分】であればイントロ部分は,独唱で小節を効かせたAメロが放たれるのだが,佐藤允彦は独奏とは真逆な分厚い管楽器の合奏で決めてきた。日本古来の5音階という縛りを与えられながらも,管楽器群の音の塊具合がファンファーレのように響いていく。
 ファンファーレが鳴りやまぬうちに,2分33秒から一人抜け出す土方隆行によるディストーション・ギターのリフが切り込んできては,一気に曲想がフュージョン・チックに,それもウェザー・リポートっぽい演奏へと変貌していく。

 ウェイン・ショーターソプラノサックスアレックス・アクーニャドラムが連想させるのか? いいや,このもろウェザー・リポートっぽい曲想は佐藤允彦の考える,仮想ジョー・ザビヌルによる「アウト・オブ・ザ・ワールド」であろう。

 1990年。時は「ワールド・ミュージック」。「ランドゥーガ」=「日本民謡」にインスパイアされたウェザー・リポートが,佐藤允彦史上,最高にエキサイティングなプロジュクトだったと思っている。

 
RANDOOGA
MASAHIKO SATOH : Keyboards
ALEX ACUNA : Drums
RAY ANDERSON : Trombone
TAKAYUKI HIJIKATA : Guitar
KOHSUKE MINE : Sax
AKIRA OKAZAWA : Bass
WAYNE SHORTER : Sax
MIDORI TAKADA : Percussion
KAZUTOKI UMEZU : Sax
NANA VASCONCELLOS : Percussion

RANDOOGA〜SELECT LIVE UNDER THE SKY '90-1
ランドゥーガ〜セレクト・ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '90
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