この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
ハービー・ハンコックによるジョニ・ミッチェルへのトリビュート・アルバムが『RIVER:THE JONI LETTERS』(以下『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』)である。
管理人にとってジョニ・ミッチェルと来れば,ジャコ・パストリアスとパット・メセニーとの深い親交があるというぐらいのもので,ジャズ・ミュージシャンではないのでアルバムも所有していない。
ゆえにジョニ・ミッチェルの作曲集である『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の楽曲は,ほぼ初見になる。
ところでトリビュート・アルバムと聞いて,ジョニ・ミッチェルが亡くなったものと思いきや,ジョニ・ミッチェルは,まだまだ存命中。
どうやら『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の制作理由は,活動休止しているジョニ・ミッチェルへのエールのようだ。
確かに『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ジャズメンがカヴァーしたくなる楽曲群がズラリ! ジャコ・パストリアスとパット・メセニーを筆頭に,多くのジャズ・ミュージシャンがジョニ・ミッチェルの才能を高く評価しているのもうなずける内容である。
そこでハービー・ハンコックである。ハービー・ハンコックにとって「歌もの」は前作『ポシビリティーズ』に続いて2作連続となる。
超豪華なポップス界のスーパースターとのコラボレーション『ポシビリティーズ』とジョニ・ミッチェルの作曲集である『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』とでは趣旨は異なれど,個人的には「御三家」と称えられるハービー・ハンコックのジャズへの「裏切り」のように感じて,正直,購入を迷ってしまった。
ただし『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の成功の裏に『ポシビリティーズ』での経験がある。だから2作連続の「歌もの」はハービー・ハンコックにとっては当然のことであり必然だったことだろう。
『ポシビリティーズ』で聴かせた,負けず劣らずのピアノが『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』で火を噴いている!
ズバリ『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』におけるハービー・ハンコックの存在感が絶大であって,全体の印象としてはハービー・ハンコックのピアノを聴くためのアルバムと化している。
もはや一音だけでハービー・ハンコックのそれと分かるハーモニーに恐れ入る。メロディーよりも「ハービー節」のクセの方が強いので,ジョニ・ミッチェルに詳しくない管理人なんかはどの曲も同じに聞こえてしまう。ハービー・ハンコックの「ハービー節」もここまで来たか〜!
ジョニ・ミッチェルにはスローな雰囲気のヴォーカル・ナンバーが多いらしく『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』収録曲もスロー・ナンバーばかりである。
ゆえに4ビートなしも「お手の物」なハービー・ハンコックのピアノが映えるのだが,ハービー・ハンコックの圧倒的なピアノもまた「間奏と伴奏とでは別物」である。
ハービー・ハンコックの「間奏」は,叙情性とポップ感のバランスが素晴らしく,どこまでも透明に透き通り,煌めく美しさを放っていて,その澄んだ音色に鳥肌が立つ。
ハービー・ハンコックの「伴奏」は,ちょっと沈んだ感じながら,さりげなくそれでも鋭くえぐるようなフレーズと危ういアウト・フレーズが心地よく説得力を持って響いている。
そう。『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ノラ・ジョーンズ,ティナ・ターナー,コリーヌ・ベイリー・レイ,ルシアーナ・ソウザ,レナード・コーエン,そしてジョニ・ミッチェルという豪華なヴォーカリストの歌声に注意が向きがちであるが,やっぱり目玉は実に9年振りにアコースティック・ジャズに立ち返ったハービー・ハンコックのピアノであろう。
ウェイン・ショーターによる「孤高の」サックスが,これまた絶品であって『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ジャズというよりも,歌詞のテーマが実際に目に浮かんでくるような映画のサウンド・トラックっぽくも感じている。
そう。『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,現在進行形のジャズにして,数年後のジャズを見据えた普遍的な音造りがなされている。
管理人はヴォーカリストを含めて全ての楽器の音が極めて美しく,しっとりとした深さとゆったりとした広がりを有する『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』を,ハービー・ハンコックが音楽人生で成し得た1つの到達点として高く評価する。
01. COURT AND SPARK
02. EDITH AND THE KINGPIN
03. BOTH SIDES NOW
04. RIVER
05. SWEET BIRD
06. TEA LEAF PROPHECY
07. SOLITUDE
08. AMELIA
09. NEFERTITI
10. THE JUNGLE LINE
11. A CASE OF YOU
HERBIE HANCOCK : Piano
WAYNE SHORTER : Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
DAVE HOLLAND : Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
LIONEL LOUEKE : Guitar
NORAH JONES : Vocal
TINA TURNER : Vocal
CORINNE BAILEY RAE : Vocal
JONI MITCHELL : Vocal
LUCIANA SOUZA : Vocal
LEONARD COHEN : Vocal
マルコ5章 ヤイロの娘。イエスの外衣に触った女性
ソニー・ロリンズ 『ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
「General Field」 Album Of The Year ; River: The Joni Letters / Herbie Hancock
Category 45 - Best Contemporary Jazz Album ; River: The Joni Letters / Herbie Hancock
ハービー・ハンコックによるジョニ・ミッチェルへのトリビュート・アルバムが『RIVER:THE JONI LETTERS』(以下『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』)である。
管理人にとってジョニ・ミッチェルと来れば,ジャコ・パストリアスとパット・メセニーとの深い親交があるというぐらいのもので,ジャズ・ミュージシャンではないのでアルバムも所有していない。
ゆえにジョニ・ミッチェルの作曲集である『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の楽曲は,ほぼ初見になる。
ところでトリビュート・アルバムと聞いて,ジョニ・ミッチェルが亡くなったものと思いきや,ジョニ・ミッチェルは,まだまだ存命中。
どうやら『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の制作理由は,活動休止しているジョニ・ミッチェルへのエールのようだ。
確かに『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ジャズメンがカヴァーしたくなる楽曲群がズラリ! ジャコ・パストリアスとパット・メセニーを筆頭に,多くのジャズ・ミュージシャンがジョニ・ミッチェルの才能を高く評価しているのもうなずける内容である。
そこでハービー・ハンコックである。ハービー・ハンコックにとって「歌もの」は前作『ポシビリティーズ』に続いて2作連続となる。
超豪華なポップス界のスーパースターとのコラボレーション『ポシビリティーズ』とジョニ・ミッチェルの作曲集である『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』とでは趣旨は異なれど,個人的には「御三家」と称えられるハービー・ハンコックのジャズへの「裏切り」のように感じて,正直,購入を迷ってしまった。
ただし『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』の成功の裏に『ポシビリティーズ』での経験がある。だから2作連続の「歌もの」はハービー・ハンコックにとっては当然のことであり必然だったことだろう。
『ポシビリティーズ』で聴かせた,負けず劣らずのピアノが『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』で火を噴いている!
ズバリ『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』におけるハービー・ハンコックの存在感が絶大であって,全体の印象としてはハービー・ハンコックのピアノを聴くためのアルバムと化している。
もはや一音だけでハービー・ハンコックのそれと分かるハーモニーに恐れ入る。メロディーよりも「ハービー節」のクセの方が強いので,ジョニ・ミッチェルに詳しくない管理人なんかはどの曲も同じに聞こえてしまう。ハービー・ハンコックの「ハービー節」もここまで来たか〜!
ジョニ・ミッチェルにはスローな雰囲気のヴォーカル・ナンバーが多いらしく『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』収録曲もスロー・ナンバーばかりである。
ゆえに4ビートなしも「お手の物」なハービー・ハンコックのピアノが映えるのだが,ハービー・ハンコックの圧倒的なピアノもまた「間奏と伴奏とでは別物」である。
ハービー・ハンコックの「間奏」は,叙情性とポップ感のバランスが素晴らしく,どこまでも透明に透き通り,煌めく美しさを放っていて,その澄んだ音色に鳥肌が立つ。
ハービー・ハンコックの「伴奏」は,ちょっと沈んだ感じながら,さりげなくそれでも鋭くえぐるようなフレーズと危ういアウト・フレーズが心地よく説得力を持って響いている。
そう。『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ノラ・ジョーンズ,ティナ・ターナー,コリーヌ・ベイリー・レイ,ルシアーナ・ソウザ,レナード・コーエン,そしてジョニ・ミッチェルという豪華なヴォーカリストの歌声に注意が向きがちであるが,やっぱり目玉は実に9年振りにアコースティック・ジャズに立ち返ったハービー・ハンコックのピアノであろう。
ウェイン・ショーターによる「孤高の」サックスが,これまた絶品であって『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,ジャズというよりも,歌詞のテーマが実際に目に浮かんでくるような映画のサウンド・トラックっぽくも感じている。
そう。『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』は,現在進行形のジャズにして,数年後のジャズを見据えた普遍的な音造りがなされている。
管理人はヴォーカリストを含めて全ての楽器の音が極めて美しく,しっとりとした深さとゆったりとした広がりを有する『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』を,ハービー・ハンコックが音楽人生で成し得た1つの到達点として高く評価する。
01. COURT AND SPARK
02. EDITH AND THE KINGPIN
03. BOTH SIDES NOW
04. RIVER
05. SWEET BIRD
06. TEA LEAF PROPHECY
07. SOLITUDE
08. AMELIA
09. NEFERTITI
10. THE JUNGLE LINE
11. A CASE OF YOU
HERBIE HANCOCK : Piano
WAYNE SHORTER : Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
DAVE HOLLAND : Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
LIONEL LOUEKE : Guitar
NORAH JONES : Vocal
TINA TURNER : Vocal
CORINNE BAILEY RAE : Vocal
JONI MITCHELL : Vocal
LUCIANA SOUZA : Vocal
LEONARD COHEN : Vocal
(ヴァーヴ/VERVE 2007年発売/UCCV-1100)
(ライナーノーツ/渡辺亨)
(ライナーノーツ/渡辺亨)
マルコ5章 ヤイロの娘。イエスの外衣に触った女性
ソニー・ロリンズ 『ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット』