この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
ビル・チャーラップの『LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』(以下『オータム・イン・ニューヨーク』)をサラッと聴いて「あっ,これが今年のベストだ」と直感した。
個人的にはハービー・ハンコックでもマイケル・ブレッカーでもなく2007年はビル・チャーラップの完勝だったとここに宣言する。
事実,今年のグラミー・ノミネーツでピアノ・トリオは『オータム・イン・ニューヨーク』の1枚限り。
管理人の“フェイバリット”キース・ジャレットのピアノ・トリオにおける“最高傑作”『マイ・フーリッシュ・ハート』が好きすぎるのだが,出来映えについてはビル・チャーラップの方が上だと認めざるを得ない。それくらいに『オータム・イン・ニューヨーク』が最高に素晴らしい。
熱烈キース・ジャレット・ファンの管理人にここまで言わせたビル・チャーラップが最高に素晴らしい。
キース・ジャレットと比較して,ここまで他のジャズメンを絶賛したことは人生の中でもそうはない。もうここまで書けば『オータム・イン・ニューヨーク』批評は完結で良いだろう。本当に終わろうかな?と思いつつも以下は余興として〜。
『オータム・イン・ニューヨーク』はライブ盤なのだが,曲終わりで拍手が聞こえて,ライブ盤だと認識する。
それくらいに一発勝負の即興なのに,繊細でニュアンスに富んだクリエイティブな演奏に,胸が込み上げてくるものを感じ【オータム・イン・ニューヨーク】での深みたっぷりのルバートに毎回涙してしまう。
観客を前にしてこんなにも集中できるとはビル・チャーラップもキース・ジャレットと同じく,観客も1人の共演者と位置付けるタイプのジャズメンなのだろう。
ジャズ・ピアノ界の中堅から若手の「筆頭格」であるビル・チャーラップ。すでに多くのジャズ業界関係者やマニアからの信頼と熱烈な支持を有している。
管理人もリリカルな中にダイナミクスがあって,ピアノ・トリオの楽器の音がしっかり混ざり合って,ソフィスティケートされたビル・チャーラップのハイセンスに舌を巻くことが多々あった。
『オータム・イン・ニューヨーク』には,そんなビル・チャーラップの秀でた特長が,さらに「磨き抜かれた」感じの雰囲気で満ちている。
『オータム・イン・ニューヨーク』で,ビル・チャーラップの指先に自信を与えているのが,ベースのピーター・ワシントンとドラムのケニー・ワシントン。
実はビル・チャーラップのピアノ・トリオには2つの異なるセットが現在進行形で組まれていて,ブルーノートからリリースするアルバムは,ベースのピーター・ワシントンとドラムのケニー・ワシントン。そしてヴィーナスからリリースする「NEW YORK TRIO」名義のアルバムでは,ベースのジェイ・レオンハートとドラムのビル・スチュワートとなっている。
ビル・チャーラップが全体の音楽性を考えて使い分けている,性格の異なる2つのピアノ・トリオに甲乙つけるのは非常に難しい。『オータム・イン・ニューヨーク』にはピーター・ワシントン&ケニー・ワシントンで大正解ということろ。
いやいや,これがジェイ・レオンハート&ビル・スチュワートだともっと違う方向で覚醒していたのかも? ← 無限ループになるだけなので変な妄想はやめておこう。
何が書きたいのかというと,仮に『オータム・イン・ニューヨーク』がピーター・ワシントンのリーダー名義だとしても,そしてケニー・ワシントンのリーダー名義として発売されても違和感はないということ。
『オータム・イン・ニューヨーク』の全曲でピーター・ワシントン&ケニー・ワシントンがフィーチャリングされている。
ピーター・ワシントンの方は,得意のウォーキングが炸裂しているし【THE LADY IS A TRAMP】でのロング・ソロが実に素晴らしい。
ケニー・ワシントンの方も,得意のバップっぽいノリが炸裂しているし,特にブラシへの持ち替えが効いていて,このブラシ使いの耽美な表現がビル・チャーラップのピアノにドンピシャリであろう。
とは言えピーター・ワシントンにしてもケニー・ワシントンにしても,一瞬たりともビル・チャーラップより前に出ることはない。その辺りの塩梅が長年トリオを組んできたからできる,阿吽なのだと思う。3人が3人とも全体のバランスを最優先した繊細な演奏が続いている。
そう。『オータム・イン・ニューヨーク』こそが,ビル・チャーラップ率いるピーター・ワシントン&ケニー・ワシントン組の“最高傑作”。
緊密な音楽性の共通認識を有するビル・チャーラップ・トリオだから生み出すことのできた,セッションではない「作品作り」のライブ盤。
いや〜,ビル・チャーラップって,江戸っ子ではなく生粋のニューヨーカーなのに「粋」だよなぁ〜と思わせてくれる。多分そんな部分が『オータム・イン・ニューヨーク』を2007年の一番と思わせてくれる理由なんだろうなぁ。
管理人はピアニストのビル・チャーラップ,ベーシストのピーター・ワシントン,ドラマーのケニー・ワシントンの3人を「ジャズメンを超えたアーティスト」と呼びたいと思っている。
01. ROCKER
02. AUTUMN IN NEW YORK
03. GODCHILD
04. THE LADY IS A TRAMP
05. IT'S ONLY A PAPER MOON
06. MY SHINING HOUR
07. ALL ACROSS THE CITY
08. WHILE WE'RE YOUNG
09. LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
BILL CHARLAP : Piano
PETER WASHINGTON : Bass
KENNY WASHINGTON : Drums
マルコ7章 人間の伝統の偽善が暴かれる
松原正樹 『ヒューマリズムI』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Live at the Village Vanguard / The Bill Charlap Trio

個人的にはハービー・ハンコックでもマイケル・ブレッカーでもなく2007年はビル・チャーラップの完勝だったとここに宣言する。
事実,今年のグラミー・ノミネーツでピアノ・トリオは『オータム・イン・ニューヨーク』の1枚限り。
管理人の“フェイバリット”キース・ジャレットのピアノ・トリオにおける“最高傑作”『マイ・フーリッシュ・ハート』が好きすぎるのだが,出来映えについてはビル・チャーラップの方が上だと認めざるを得ない。それくらいに『オータム・イン・ニューヨーク』が最高に素晴らしい。
熱烈キース・ジャレット・ファンの管理人にここまで言わせたビル・チャーラップが最高に素晴らしい。
キース・ジャレットと比較して,ここまで他のジャズメンを絶賛したことは人生の中でもそうはない。もうここまで書けば『オータム・イン・ニューヨーク』批評は完結で良いだろう。本当に終わろうかな?と思いつつも以下は余興として〜。
『オータム・イン・ニューヨーク』はライブ盤なのだが,曲終わりで拍手が聞こえて,ライブ盤だと認識する。
それくらいに一発勝負の即興なのに,繊細でニュアンスに富んだクリエイティブな演奏に,胸が込み上げてくるものを感じ【オータム・イン・ニューヨーク】での深みたっぷりのルバートに毎回涙してしまう。
観客を前にしてこんなにも集中できるとはビル・チャーラップもキース・ジャレットと同じく,観客も1人の共演者と位置付けるタイプのジャズメンなのだろう。
ジャズ・ピアノ界の中堅から若手の「筆頭格」であるビル・チャーラップ。すでに多くのジャズ業界関係者やマニアからの信頼と熱烈な支持を有している。
管理人もリリカルな中にダイナミクスがあって,ピアノ・トリオの楽器の音がしっかり混ざり合って,ソフィスティケートされたビル・チャーラップのハイセンスに舌を巻くことが多々あった。
『オータム・イン・ニューヨーク』には,そんなビル・チャーラップの秀でた特長が,さらに「磨き抜かれた」感じの雰囲気で満ちている。
『オータム・イン・ニューヨーク』で,ビル・チャーラップの指先に自信を与えているのが,ベースのピーター・ワシントンとドラムのケニー・ワシントン。
実はビル・チャーラップのピアノ・トリオには2つの異なるセットが現在進行形で組まれていて,ブルーノートからリリースするアルバムは,ベースのピーター・ワシントンとドラムのケニー・ワシントン。そしてヴィーナスからリリースする「NEW YORK TRIO」名義のアルバムでは,ベースのジェイ・レオンハートとドラムのビル・スチュワートとなっている。
ビル・チャーラップが全体の音楽性を考えて使い分けている,性格の異なる2つのピアノ・トリオに甲乙つけるのは非常に難しい。『オータム・イン・ニューヨーク』にはピーター・ワシントン&ケニー・ワシントンで大正解ということろ。
いやいや,これがジェイ・レオンハート&ビル・スチュワートだともっと違う方向で覚醒していたのかも? ← 無限ループになるだけなので変な妄想はやめておこう。

『オータム・イン・ニューヨーク』の全曲でピーター・ワシントン&ケニー・ワシントンがフィーチャリングされている。
ピーター・ワシントンの方は,得意のウォーキングが炸裂しているし【THE LADY IS A TRAMP】でのロング・ソロが実に素晴らしい。
ケニー・ワシントンの方も,得意のバップっぽいノリが炸裂しているし,特にブラシへの持ち替えが効いていて,このブラシ使いの耽美な表現がビル・チャーラップのピアノにドンピシャリであろう。
とは言えピーター・ワシントンにしてもケニー・ワシントンにしても,一瞬たりともビル・チャーラップより前に出ることはない。その辺りの塩梅が長年トリオを組んできたからできる,阿吽なのだと思う。3人が3人とも全体のバランスを最優先した繊細な演奏が続いている。
そう。『オータム・イン・ニューヨーク』こそが,ビル・チャーラップ率いるピーター・ワシントン&ケニー・ワシントン組の“最高傑作”。
緊密な音楽性の共通認識を有するビル・チャーラップ・トリオだから生み出すことのできた,セッションではない「作品作り」のライブ盤。
いや〜,ビル・チャーラップって,江戸っ子ではなく生粋のニューヨーカーなのに「粋」だよなぁ〜と思わせてくれる。多分そんな部分が『オータム・イン・ニューヨーク』を2007年の一番と思わせてくれる理由なんだろうなぁ。
管理人はピアニストのビル・チャーラップ,ベーシストのピーター・ワシントン,ドラマーのケニー・ワシントンの3人を「ジャズメンを超えたアーティスト」と呼びたいと思っている。
01. ROCKER
02. AUTUMN IN NEW YORK
03. GODCHILD
04. THE LADY IS A TRAMP
05. IT'S ONLY A PAPER MOON
06. MY SHINING HOUR
07. ALL ACROSS THE CITY
08. WHILE WE'RE YOUNG
09. LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
BILL CHARLAP : Piano
PETER WASHINGTON : Bass
KENNY WASHINGTON : Drums
(ブルーノート/BLUE NOTE 2007年発売/TOCJ-66387)
(ライナーノーツ/高井信成)
(ライナーノーツ/高井信成)
マルコ7章 人間の伝統の偽善が暴かれる
松原正樹 『ヒューマリズムI』