この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。

 「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
 それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。

 なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
 こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
 


Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Line by LineJohn Patitucci

 
LINE BY LINE-1 ジョン・パティトゥッチの名前は現在でも絶えず目にする機会がある。ジョン・パティトゥッチの「対抗馬」として思い浮かぶのは,マーカス・ミラー・クラスは別格として,クリスチャン・マクブライトぐらい“超絶技巧”で比べればブライアン・ブロンバーグぐらいのものである。
 ジョン・パティトゥッチチック・コリアエレクトリック・バンドで歴史に名前を刻んだベーシストであるが,エレクトリック・バンドの解散後,この2007年にグラミー・ノミネーツされるまでの「息の長い」ベーシストになるとは思ってもいなかった。

 そんなジョン・パティトゥッチの20年間第一線の理由を知りたければ『LINE BY LINE』(以下『ライン・バイ・ライン』)を聴いてほしい。
 ジョン・パティトゥッチは,エレクトリックベースウッドベースの「二刀流」だけではない。ジョン・パティトゥッチは,もはやマルチ・タレントとしても活躍中。
 作曲も編曲もやるし,ジャズフュージョンだけではなくてクラシックもやる。見渡せばジャズ界でも指折りのオールラウンダーとして活躍の幅を広げている。

 『ライン・バイ・ライン』は友人の推薦があって購入した1枚である。振り返ればジョン・パティトゥッチはノーマーク。
 ジョン・パティトゥッチソロ・アルバムはデビュー・アルバム『JOHN PATITUCCI』しか所有していなかった。毎年毎年,サイドメンとしてのジョン・パティトゥッチの超絶ベースを聴き続けているのだから,ソロで聴きたい,という欲求が沸かなかったのも事実である。

LINE BY LINE-2 まっ,そういう意味ではこれまでは「器用貧乏」であったジョン・パティトゥッチが「器用で裕福」となったのが『ライン・バイ・ライン』である。待望のグラミー・ノミネーツは,ソロ・アーティストとしてのジョン・パティトゥッチの転機となることだろう。

 テナーサックスクリス・ポッターギターアダム・ロジャースドラムブライアン・ブレイドという「スター集団」を全力で演奏させようとしていない。そんな「腹八分目」のような何とも贅沢すぎる内省的な音楽は,繰り返し聴けば聴くほどに味わい深さを増してくる。音楽の職人たちが懇切丁寧に音と音を繋ぎながら静かに訴えかけてくる。

 もしや,ハマッタのか!? こねメンバーならとんでもなくブチ切れた演奏で皆を圧倒することも簡単に出来るのになあ,と不満に思いつつも,音楽の完成度の高さに敬服してしまう。
 もしや,この歳になってジョン・パティトゥッチにハマッタのか!?

 
01. The Root
02. Agitato
03. Circular
04. Folklore
05. Dry September
06. Nana
07. Theme and Variations for 6-String Bass and Strings
08. Line by Line
09. Evidence
10. Jesus Is on the Mainline
11. Incarnation
12. Soaring
13. Tone Poem
14. Up with the Lark

 
JOHN PATITUCCI : Double Bass, 6-String Electric Bass
ADAM ROGERS : Electric Guitar, Nylon-String Guitars
BRIAN BLADE : Drums
CHRIS POTTER : Tenor Saxophone
RICHARD ROOD : Violin
ELIZABETH LIM-DUTTON : Violin
LAWRENCE DUTTON : Viola
SACHI PATITUCCI : Cello
JEREMY McCOY : Double Bass

(コンコード/CONCORD 2006年発売/UCCM-2005)
(ライナーノーツ/ジョン・パティトゥッチ,成田正)

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マルコ8章 イエスは自分の死を予告する
デオダート 『ツァラトゥストラはかく語り