『MOUNTAIN DANCE』の6曲目は【THANKSONG】(以下【サンクソング】)。

 『MOUNTAIN DANCE』のツートップである,世紀の名曲【MOUNTAIN DANCE】と【CAPTAIN CARIBE】に挟まれた【サンクソング】。

 「頭脳明晰」なデイヴ・グルーシンなのだから,本来は「筆休め」的なソロ・ピアノの予定であろうに,ピアノを弾き出したら,溢れる思いが止まらない!

 【サンクソング】の「温もり」がジンワリ。最初は【MOUNTAIN DANCE】と【CAPTAIN CARIBE】の間の挿入歌的な立ち位置であったはずのソロ・ピアノが,繰り返し聴けば聴くほどに評価爆上がり!
 単体で聴けば,恐らくは中の上クラスであろう【サンクソング】を『MOUNTAIN DANCE』の「舵取り役」に据えたデイヴ・グルーシンの,これって「頭脳明晰」な確信犯?

 音と音のつながりが非常にスムーズなので【MOUNTAIN DANCE】のクールダウンに丁度よく,かつ【CAPTAIN CARIBE】のウォームアップにも丁度良い,リリカルなソロ・ピアノだったはずなのに,いつの間にか【サンクソング】に真剣に「聴き入っている」自分に気付いた。

 何なんだろう。【サンクソング】の放つ「温かな」オーラが,爽やかなLAフュージョンにして「ジャズ・ファンク」を裏テーマとする『MOUNTAIN DANCE』の1曲1曲の出っ張りをつなぎ,アルバム全体の雰囲気をヒューマニズムで優しく包み込んでいる。

 「映画音楽家」でもあるデイヴ・グルーシンの【サンクソング】が,何気ない生活のワン・シーンを盛り上げてくれる。非日常のアクセントとして,メロディーを決して邪魔しないデイヴ・グルーシンアドリブと独特のピアノ・タッチが,人生に豊かな彩りを与えてくれる。

 
DAVE GRUSIN : Piano

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MOUNTAIN DANCE
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