
そう。T−スクェアの『NATURAL』はラス・フリーマン・プロデュース。かねてからアメリカ進出を目指してきたT−スクェアが,本気で「世界を狙うために」依頼した“最後の一手”がラス・フリーマン・プロデュース。
『NATURAL』のサウンドメイクが本気で素晴らしい。“日本人丸出し”だったT−スクェアが世界基準のフュージョン・バンドへと見事な変貌を遂げていた。ラス・フリーマン素晴らしや〜!
あっ,当然のことながら?あのリッピントンズです。『NATURAL』の以前から,リッピントンズのこともラス・フリーマンのことも知っていたし【TOURIST IN PARADISE】なんて最高ですよね?
ただし,そうは言いながらも管理人の手元にリッピントンズのアルバムは1枚もなかった。FMラジオでリッピントンズの超人気ぶりや,評論家が語る絶賛の言葉を聞いていたから,実は本当は良く知らないのに,いつの間にか無意識のうちに「ラス・フリーマンって天才」が擦り込まれていたのも事実である。
『NATURAL』にゾッコン惚れ込んだ今こそ,リッピントンズを,そしてラス・フリーマンを真剣に聞いてみなければ! 勢い勇んでリッピントンズのアルバムを買いに行きましたよ。『WELCOME TO THE ST.JAMES’ CLUB』(以下『聖ジェームス・クラブへようこそ』)を買ってきましたよ。
管理人の「初めてのリッピントンズ」の1枚として『聖ジェームス・クラブへようこそ』を選んだのは,それがリッピントンズの最新作だったから。ただそれだけの理由。
でもこんな偶然が大成功! ほぼコンプリートしてしまったリッピントンズ関連のコレクションの中でも『聖ジェームス・クラブへようこそ』が一番の愛聴盤となりました。
『聖ジェームス・クラブへようこそ』を初めて聴いた時「あっ,この曲知っている」「あっ,この曲も知っている」状態だったことを覚えている。
そう。巷はすでにリッピントンズの名曲で溢れていた。管理人が出遅れていただけだった。あれから16年,後追いはら始めましたが,今でも熱心なリッピントンズファン,スムーズ・ジャズ・ファンを継続中ゆえお許しを〜。
『聖ジェームス・クラブへようこそ』は名盤中の名盤である。何と言ってもリッピントンズはラス・フリーマンの個人プロジェクトのはずなのに,ラス・フリーマン自身はやみくもに前に出ることはせずに,ひたすらバンド・サウンドのバランサーとして機能し続けている。
「痒い所に手が届く」仕事ぶりが「職人」としてのラス・フリーマンの人柄を投影しているようで最高に素晴らしいと思う。
『聖ジェームス・クラブへようこそ』の中から聞こえてくる「オールラウンダー」であるラス・フリーマンの“ジャズメン魂”あるいはミュージシャン・シップの熱量,そのどれもが相当に高くて好みである。何を演らせてもピカイチな音楽エリートの香りが感じられる。こんなハイセンスの持ち主なのだから,そりゃあ,デビッド・ベノワと「ウマが合う」わけである。

同じギタリストが率いるフュージョン・バンドとして,安藤まさひろが“スクェアのリッピントンズ化”を願った気持ちも理解できるというものだ。
巷で語られていたラス・フリーマンの“天才”は真実であった。そして「100%のラス・フリーマン」はリッピントンズの中でしか聴けないことも理解できた。
スクェア・ファンの皆さん,リッピントンズのことを知りたければ,ラス・フリーマンのことを知りたければ,加えて『NATURAL』の奥深さを知りたければ『NATURAL』だけでは足りません。
リッピントンズを,そして『聖ジェームス・クラブへようこそ』のエッセンスを!
01. WELCOME TO THE ST. JAMES' CLUB
02. WEDNESDAY'S CHILD
03. I WATCHED HER WALK AWAY
04. KENYA
05. AFFAIR IN SAN MIGUEL
06. TROPIC OF CAPRICORN
07. WHO'S HOLDING HER NOW?
08. SOUL MATES
09. PASSION FRUIT
10. VICTORIA'S SECRET
RIPPINGTONS FEATURING RUSS FREEMAN
RUSS FREEMAN : Drums, Bass, Keyboards, Keyboard Programming, Acoustic Guitar, Electric Guitar, Classical Guitar, Guitar Synthesizer, Percussion
JEFF KASHIWA : Saxophone, EWI
KIRK WHALUM : Saxophone
BRANDON FIELDS : Saxophone
JUDD MILLER : EVI
JOE SAMPLE : Acoustic Piano
MIKE LANG : Acoustic Piano
STEVE BAILEY : Additional Fretted Bass, Additional Fretless Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
TONY MORALES : Cymbals, Hat, Additional Symbals
STEVE REID : Percussion, Additional Percussion, Vocal
BRANT BILES : Additional Shaker
CARL ANDERSON : Vocal
LYNN FIDDMONT : Vocal
PATTI AUSTIN : Vocal
DEEDEE BELLSON : Vocal
KEVIN GUILLAUME : Vocal
(GRP/GRP 1990年発売/VICJ-29)
(ライナーノーツ/松下佳男)
(ライナーノーツ/松下佳男)
ガラテア5章 クリスチャンの自由
エディ・ハリス・カルテット 『フリーダム・ジャズ・ダンス』