『“GINPARIS SESSION”〜JUNE 26,1963〜』の3曲目は【IF I WERE A BELL】(以下【イフ・アイ・ワー・ア・ベル】)。

 【イフ・アイ・ワー・ア・ベル】の主役はマイルス・デイビスのポジションを務める日野皓正トランペットではなく中牟礼貞則ギターである。

 イントロから中牟礼貞則ギターが疾走する。マイルス・デイビスギターレスなカルテットにはないパターンの色彩感ある演奏で『銀巴里セッション』の【イフ・アイ・ワー・ア・ベル】を聴いた後では『リラクシン』の演奏が退屈に聴こえるぐらいである。

 中牟礼貞則のロング・ソロがこれまた素晴らしいし,日野皓正がテーマを吹いている間のバッキングにも自然と耳が傾いてしまう。
 『銀巴里セッション』の時点では,同じギタリストとしては主宰監督である高柳昌行よりも中牟礼貞則の方が上だったと思う。
 『銀巴里セッション』を通して高柳昌行中牟礼貞則即興演奏を聴いて学んだのだと思う。

 日野皓正トランペットは何ら特徴のない普通の出来に留まっているが,日野皓正特有の色気あるトランペットの音色がすでに完成されているし,オープンなのにミュートに聴こえてしまうくらいにトランペットの鳴らしを熟知している。
 ここまでマイルス・デイビスを意識した日野皓正を聴けるのも貴重な記録だと思う。
 「世界のヒノテル」が『銀巴里セッション』の【イフ・アイ・ワー・ア・ベル】を聴き返してみた時に,一体どんな感想を語るのだろうか? もしやストレートすぎて恥ずかしい感じ?

 
SADANORI NAKAMURE : Guitar
TERUMASA HINO : Trumpet
KUNIMITSU INABA : Bass
HIROSHI YAMAZAKI : Drums

“GINPARIS SESSION” 〜June 26, 1963〜-1
銀巴里セッション
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テモテ第二4章 「自分の奉仕を十分に行いなさい」
渡辺香津美 『スパイス・オブ・ライフ