『BLUE HOUR』の5曲目は【WILLOW WEEP FOR ME】(以下【ウィロー・ウィープ・フォー・ミー】)。

 ジャズスタンダードとして数多くの名演が残されている【ウィロー・ウィープ・フォー・ミー】であるが,こんなにも“暗闇の中でライトアップされた”【ウィロー・ウィープ・フォー・ミー】は聴いたことがない。

 邦題である【柳よ泣いておくれ】の呼び方が馴染み深いが,スタンリー・タレンタインザ・スリー・サウンズの【ウィロー・ウィープ・フォー・ミー】は,柳の木の生命力をイメージする。真夜中に生命力を回復させている柳の木である。

 朗々とビブラートをかけながら歌い上げていくスタンリー・タレンタインが今日一日の儚い命を表現していくが,3分18秒からアタックし始めるジーン・ハリスピアノは,柳の木の再生能力の素晴らしさを讃えている。

 そんな「深夜の柳の木」の表情にスポットライトを当てた感動的なアレンジに感極まったスタンリー・タレンタインによる,8分41秒から9分40秒までのラスト前に6回も繰り返される,ジーン・ハリスピアノによる「はい,どうぞ〜」「もう一丁〜」に答えるくだりが大好きで,この部分ばかりをリピートして聴いていたものだ。

 スタンリー・タレンタインテナーサックスが涙ものである。柳の木は泣かない。管理人も泣く手前,ギリギリの線で持ちこたえる柳の木である。

 
STANLEY TURRENTINE : Tenor Saxophone

THE THREE SOUNDS
GENE HARRIS : Piano
ANDREW SIMPKINS : Bass
BILL DOWDY : Drums

BLUE HOUR-1
BLUE HOUR
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啓示2 エフェソスへの言葉,スミルナへの言葉,ペルガモンへの言葉,テアテラへの言葉
アート・ブレイキー・カルテット 『ア・ジャズ・メッセージ