『SPIRITS REJOICE』の5曲目は【PROPHET】(以下【プロフェット】)。

 キターッ! これぞアルバート・アイラーど真ん中な【プロフェット】!
 『スピリッツ・リジョイス』は【プロフェット】までの4曲が,まぁまぁ聞きやすかったものだから,聞きやすいのは良いのだが,それなら「別にアルバート・アイラーでなくても良いではないか」となるわけで…。
 【プロフェット】がアルバート・アイラーの,そしてアルバート・アイラー以外のフラストレーションをまとめて一気に吹き飛ばす〜!

 「集団即興演奏」の凄まじさは,それが理知的で真っ当なライン上に演奏されたものがどうかで判別できるのだが【プロフェット】は,人間意識の根源に迫るべく,空っぽの頭の中から「何が飛び出してくるかのお楽しみ」を楽しむ音楽であろう。
 全てが無駄のようであり,実際には全てが無駄でない。メンバーが互いに影響し合って「地獄の底」を見ようとするかのような実験的なフリージャズである。

 【プロフェット】をライブで聴けた観客が羨ましすぎる。実況録音なのでごまかしなどないわけなのだが,それでも録音された【プロフェット】に,管理人は繰り返し聴く度に「集団即興演奏」の興奮が冷めていく感覚に襲われる。
 地獄の狂気も慣れてしまえば恐くない。本当に演奏から狂気を感じるのは「理知的な」フリージャズの方である。

 アルバート・アイラーフリージャズなんて,所詮「お化け屋敷」のようなもの! 楽しまないと勿体ない!
 『スピリッツ・リジョイス』のハイライトは「お化け屋敷」『【プロフェット】の館』! 安全柵の付けられたアルバート・アイラー作の「地獄絵図」に頭からダイブせよ!

 
ALBERT AYLER : Tenor Saxophone
DON AYLER : Trumpet
CHARLES TYLER : Alto Saxophone
HENRY GRIMES : Bass
GARY PEACOCK : Bass
SUNNY MURRAY : Drums

SPIRITS REJOICE-1
Spirits Rejoice
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ヤコブと12人の息子(創25:27-37:1)
青木カレン 『SHINING