この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかウェイン・シューターとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
『RANDY IN BRASIL』(以下『ランディ・イン・ブラジル』)である。ランディ・ブレッカーでブラジルと来れば,連想するのは前妻であるイリアーヌである。
イリアーヌのピアノが本当にセンスがあって大好きだし,渡辺貞夫のブラジル・アルバムのように,世界的には無名でも音楽家として素晴らしい人材の宝庫であるブラジルのミュージシャンとランディ・ブレッカーとの共演に胸が高鳴る。
『ランディ・イン・ブラジル』とは,ランディ・ブレッカー“待望の”ストレートなラテン・フュージョン・アルバム。
と言ってもラテン・フュージョンなのは,ジャヴァン,ジルベルト・ジル,ジョアン・ボスコ,イヴァン・リンスの曲を取り上げた部分が大きく,この選曲であれば誰がどういうアレンジを施そうとラテン・フュージョンに仕上がるのは当然のこと。ただし音楽全体のイメージとしては,思いの外ラテンっぽくない,ことだけは記しておこう。
ズバリ,管理人が言う『ランディ・イン・ブラジル』の非ラテンっぽさとは,現地ブラジル録音ではなくニューヨーク録音のような雰囲気にある。最先端の音楽の構造の中で,エッセンスと元ネタだけがブラジルしている,洗練された「コンテンポラリー・ラテン・フュージョン」という印象を受ける。
それって即ち「切れ者」ランディ・ブレッカーの個性そのものである。ランディ・ブレッカーがトランペットを一音吹けば,音場はすぐにコンテンポラリーでメタリックでメカニカルな音楽へと早変わり。
逆に言えば,それだけブラジル人ミュージシャンたちのサポートが素晴らしい証拠と言える。ランディ・ブレッカーのトランペットを引き立てるべく,ランディ・ブレッカーの音楽性に寄り添い,ランディ・ブレッカーが望むアレンジ通りのジャストな演奏で盛り立てていると言える。
ランディ・ブレッカーのトランペットは,時にブレッカー・ブラザーズのようであり,時に流しのトランペッターのようである。
凛として大らかで柔らかなトランペットの音色は,超絶系の頃と比較すると,かなり角がとれて円熟の境地といった風情を感じる。ランディ・ブレッカーの“若気の至り”を聴き続けてきたファンとしては,ちょっぴり寂しさを覚えてしまう。マイケル・ブレッカー亡き今,もうランディ・ブレッカーは昔のように熱く激しくは吹いてくれないのかもしれません。
何だかランディ・ブレッカーが急に大人になったように感じるのは(歳を取ったとは書きません)ニュアンス系にモデル・チェンジした演奏の部分ではなく,ブラジル音楽の良さを引き出すアレンジャーとしての部分。
これまでに何度も演奏してきたはずのブラジル音楽の譜面の推敲を重ねたことだろう。ちょっと気だるさを残しながらも,コンテンポラリーするブラジル音楽の聴き所がアレンジから伝わってくる。軽快なフュージョン・タッチと明るいPOPS調をラテンのリズムと融合させる,考え抜かれたメリとハリの塩加減がお見事!
管理人の結論。『ランディ・イン・ブラジル』批評。
『ランディ・イン・ブラジル』の真実とは,ランディ・ブレッカー・プレゼンツ「これぞブラジル音楽の聴き所!」的なアルバムである。
馴染みの楽曲を楽しむも良し。名手揃いのブラジル人ミュージシャンの演奏力を楽しむも良し。個人的に『ランディ・イン・ブラジル』が似合うのは夏ではなく秋風の吹く季節だと思う。来年の秋にもコスモス〜紅葉への移り変わりを眺めながら「コンテンポラリー・ラテン・フュージョン」を嗜みたいと思っている。
01. Pedro Brasil
02. Ile Aye
03. Guaruja
04. Me Leve
05. Malasia
06. Sambop
07. Oriente
08. Maca
09. Olhos Puxados
10. Rebento
11. Fazendo Hora
12. Aiaiai
RANDY BRECKER : Trumpets
TECO CARDOSO : Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Tenor Saxophone, Baritone Saxophone, Flute
RURIA DUPRAT : Acoustic Piano, Keyboards, Fender Piano, Clavinet, Voice
PAULO CALAZANS : Acoustic Piano, Keyboards
ANDRE MEHMARI : Acoustic Piano
RICARDO SILVEIRA : Acoustic Guitar, Electric Guitar
SIZAO MACHADO : Acoustic Bass, Electric Bass
ROGERIO : Acoustic Bass
DA LUA : Percussion, Timba
JOAO PARAHYBA : Percussion, Timba
CAITO MARCONDES : Percussion
ROBERTINHO SILVA : Drums
EDU RIBEIRO : Drums
イスラエルの最初の王サウル(サ一8:1-12:25)
赤松敏弘 『AXIS』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかウェイン・シューターとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
Category 45 - Best Contemporary Jazz Album ; Randy In Brasil / Randy Brecker

イリアーヌのピアノが本当にセンスがあって大好きだし,渡辺貞夫のブラジル・アルバムのように,世界的には無名でも音楽家として素晴らしい人材の宝庫であるブラジルのミュージシャンとランディ・ブレッカーとの共演に胸が高鳴る。
『ランディ・イン・ブラジル』とは,ランディ・ブレッカー“待望の”ストレートなラテン・フュージョン・アルバム。
と言ってもラテン・フュージョンなのは,ジャヴァン,ジルベルト・ジル,ジョアン・ボスコ,イヴァン・リンスの曲を取り上げた部分が大きく,この選曲であれば誰がどういうアレンジを施そうとラテン・フュージョンに仕上がるのは当然のこと。ただし音楽全体のイメージとしては,思いの外ラテンっぽくない,ことだけは記しておこう。
ズバリ,管理人が言う『ランディ・イン・ブラジル』の非ラテンっぽさとは,現地ブラジル録音ではなくニューヨーク録音のような雰囲気にある。最先端の音楽の構造の中で,エッセンスと元ネタだけがブラジルしている,洗練された「コンテンポラリー・ラテン・フュージョン」という印象を受ける。
それって即ち「切れ者」ランディ・ブレッカーの個性そのものである。ランディ・ブレッカーがトランペットを一音吹けば,音場はすぐにコンテンポラリーでメタリックでメカニカルな音楽へと早変わり。
逆に言えば,それだけブラジル人ミュージシャンたちのサポートが素晴らしい証拠と言える。ランディ・ブレッカーのトランペットを引き立てるべく,ランディ・ブレッカーの音楽性に寄り添い,ランディ・ブレッカーが望むアレンジ通りのジャストな演奏で盛り立てていると言える。
ランディ・ブレッカーのトランペットは,時にブレッカー・ブラザーズのようであり,時に流しのトランペッターのようである。
凛として大らかで柔らかなトランペットの音色は,超絶系の頃と比較すると,かなり角がとれて円熟の境地といった風情を感じる。ランディ・ブレッカーの“若気の至り”を聴き続けてきたファンとしては,ちょっぴり寂しさを覚えてしまう。マイケル・ブレッカー亡き今,もうランディ・ブレッカーは昔のように熱く激しくは吹いてくれないのかもしれません。

これまでに何度も演奏してきたはずのブラジル音楽の譜面の推敲を重ねたことだろう。ちょっと気だるさを残しながらも,コンテンポラリーするブラジル音楽の聴き所がアレンジから伝わってくる。軽快なフュージョン・タッチと明るいPOPS調をラテンのリズムと融合させる,考え抜かれたメリとハリの塩加減がお見事!
管理人の結論。『ランディ・イン・ブラジル』批評。
『ランディ・イン・ブラジル』の真実とは,ランディ・ブレッカー・プレゼンツ「これぞブラジル音楽の聴き所!」的なアルバムである。
馴染みの楽曲を楽しむも良し。名手揃いのブラジル人ミュージシャンの演奏力を楽しむも良し。個人的に『ランディ・イン・ブラジル』が似合うのは夏ではなく秋風の吹く季節だと思う。来年の秋にもコスモス〜紅葉への移り変わりを眺めながら「コンテンポラリー・ラテン・フュージョン」を嗜みたいと思っている。
01. Pedro Brasil
02. Ile Aye
03. Guaruja
04. Me Leve
05. Malasia
06. Sambop
07. Oriente
08. Maca
09. Olhos Puxados
10. Rebento
11. Fazendo Hora
12. Aiaiai
RANDY BRECKER : Trumpets
TECO CARDOSO : Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Tenor Saxophone, Baritone Saxophone, Flute
RURIA DUPRAT : Acoustic Piano, Keyboards, Fender Piano, Clavinet, Voice
PAULO CALAZANS : Acoustic Piano, Keyboards
ANDRE MEHMARI : Acoustic Piano
RICARDO SILVEIRA : Acoustic Guitar, Electric Guitar
SIZAO MACHADO : Acoustic Bass, Electric Bass
ROGERIO : Acoustic Bass
DA LUA : Percussion, Timba
JOAO PARAHYBA : Percussion, Timba
CAITO MARCONDES : Percussion
ROBERTINHO SILVA : Drums
EDU RIBEIRO : Drums
(ママ・レコーズ/MAMA RECORDS 2008年発売/VICJ-61574)
(ライナーノーツ/工藤由美)
(ライナーノーツ/工藤由美)
イスラエルの最初の王サウル(サ一8:1-12:25)
赤松敏弘 『AXIS』