この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
パット・メセニーのギター・トリオとしては8年振りのアルバムとなった『DAY TRIP』(以下『デイ・トリップ』)。
ただし実際に『デイ・トリップ』が録音されたのは3年前。このリリースまでの「空白の3年間」にパット・メセニーの意思を感じる。
個人的に『デイ・トリップ』は文句なしの名演集である。ベースにクリスチャン・マクブライド,ドラムにアントニオ・サンチェスを迎えたギター・トリオに不満などあるはずがない。
ただしパット・メセニーと来ればパット・メセニー・グループでの雄大な映像美が見えてくるような音楽である。これは散々語られていることだが,パット・メセニーとは元々フュージョン・サイドの人間だったはずなのに,ちょくちょくジャズ・サイドに入ってくるから,しかも硬派なジャズ・ギター・アルバムを作ってくるものだからもう大変,というお話。
管理人もジャズ・サイドに振れたパット・メセニーには苦手意識を持つことがある。これがあのパット・メセニーの音楽なのか,と思ったことがある。そして今回『デイ・トリップ』を聴いてそう思ってしまった。
そう。「空白の3年間」に,もしやパット・メセニー本人も,と勘繰ってしまう。ギター・トリオの前作『TRIO 99→00』と『TRIO LIVE』のリリース時にはそんなことはなかった。もっと言えば『デイ・トリップ』のライブ盤『TOKYO DAY TRIP』では『デイ・トリップ』収録曲は演奏していないし,収録時間の短いミニ・アルバム扱いである。
そう。パット・メセニーとしてもクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスと組んだギター・トリオに絶対の自信を持てなかったのだと思う。
フュージョン・サイドのパット・メセニーがコンポーザーであるならば,ジャズ・サイドのパット・メセニーはギタリスト。つまり『デイ・トリップ』で前面に出るべきなのは“ジャズ・ギタリスト”としてインプロヴィゼーションしまくるパット・メセニーであって然るべき。
『デイ・トリップ』の“凝りに凝った”アレンジで演奏される楽曲群が即興演奏の美味しさを薄めてしまっている。「策士策に溺れる」ような演奏なのだと思う。
クリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスのリズムが完璧すぎで,パット・メセニーに襲いかかる感じではない。全体的に堅実な安定感あるギター・トリオである。
そんな大した苦労なしに上出来すぎた演奏が手に入った部分がパット・メセニーをギター・トリオに熱中させる,そしてギター・トリオに突き動かすまでのパワーにはならなかったのだと思う。つまりは当初の想定通りの演奏のままで終わってしまったということだろう。
もしやパット・メセニーはクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスと組んだギター・トリオを演奏してみて,ラリー・グレナディア&ジェフ・バラードと組んだギター・トリオを懐かしんだのかもしれない。
時系列で整理していくとパット・メセニーは『デイ・トリップ』のレコーディングのわずか2か月後に『メセニー・メルドー・カルテット』をレコーディングしている。ラリー・グレナディアとジェフ・バラードのリズムをパット・メセニーが欲したという事実を見落としてはならない。
『デイ・トリップ』に,そしてクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスの演奏にケチをつけるのは筋違いであるが,パット・メセニーのギター・トリオが予定調和でまとまってしまえば意味がない。
パット・メセニー・マニアからすると『デイ・トリップ』は,新しい編成のギター・トリオでレコーディングした,という記録を残すだけで,あのまんまリリースしなくても良かった1枚だと思う。ジャズ・サイドのパット・メセニーの音楽とはこんなヤワなもんじゃいけない。
…と,ほんの4日前にグラミー・ノミネーションへの信頼を公言した管理人が『デイ・トリップ』に苦言を書いてしまったのは,きっと演奏以外の部分なのだ。パット・メセニーが好きすぎるがゆえの,過去のギター・トリオとの比較のせいなのだと自覚している。
ジャコ・パストリアス&ボブ・モーゼスとの『BRIGHT SIZE LIFE』のようなスリルもなければ,ジャコ・パストリアス&ボブ・モーゼスとのスリリングな『BRIGHT SIZE LIFE』のような刺激もなければ,パット・メセニーが共演を熱望したチャーリー・ヘイデン&ビリー・ヒギンスとの『REJOICING』やデイヴ・ホランド&ロイ・ヘインズとの『QUESTION AND ANSWER』のような高揚感もない。ラリー・グレナディア&ジェフ・バラードとの『TRIO 99→00』と『TRIO LIVE』は最高に刺激的だった。
『デイ・トリップ』は名演である。これホントウ。ただし『デイ・トリップ』には,何度聴き返してもパット・メセニーの過去のギター・トリオで感じた,胸躍るような特徴が見当たらない。
要するにパット・メセニー・マニアとしてはパット・メセニーが,新しい編成のギター・トリオに“狂喜乱舞”している姿が見えてこないのが辛口批評の第一要因。
アルバム・タイトル『デイ・トリップ』とは「日帰り旅行」のことである。『デイ・トリップ』はパット・メセニーの恒例行事であるツアーの合間のわずか1日間を利用した「日帰りレコーディング」のことを指している。
たった1日間で,これまでに何度も共演したことのあるベーシストとドラマー相手のレコーディングに新鮮味を覚えることは難しかった。もはや相当な準備を行なってからでないとパット・メセニーが演奏中に“狂喜乱舞”することは少ないであろう。ブラッド・メルドーとの共演を消化してしまった今,パット・メセニーのモチベーションを上げる若手が果たしているのだろうか…。
矢野沙織ちゃん,もうそろそろ出番ですよっ?
01. SON OF THIRTEEN
02. AT LAST YOU'RE HERE
03. LET'S MOVE
04. SNOVA
05. CALVIN'S KEYS
06. IS THIS AMERICA? (katrina 2005)
07. WHATNOT
08. WHEN WE WERE FREE
09. DREAMING TREES
10. THE RED ONE
11. DAY TRIP
PAT METHENY : Guitar
CHRISTIAN McBRIDE : Bass
ANTONIO SANCHEZ : Drums
ダビデの治世の初期の出来事(サ二1:1-4:12)
akiko 『アップストリーム』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Day Trip / Pat Metheny With Christian McBride & Antonio Sanchez

ただし実際に『デイ・トリップ』が録音されたのは3年前。このリリースまでの「空白の3年間」にパット・メセニーの意思を感じる。
個人的に『デイ・トリップ』は文句なしの名演集である。ベースにクリスチャン・マクブライド,ドラムにアントニオ・サンチェスを迎えたギター・トリオに不満などあるはずがない。
ただしパット・メセニーと来ればパット・メセニー・グループでの雄大な映像美が見えてくるような音楽である。これは散々語られていることだが,パット・メセニーとは元々フュージョン・サイドの人間だったはずなのに,ちょくちょくジャズ・サイドに入ってくるから,しかも硬派なジャズ・ギター・アルバムを作ってくるものだからもう大変,というお話。
管理人もジャズ・サイドに振れたパット・メセニーには苦手意識を持つことがある。これがあのパット・メセニーの音楽なのか,と思ったことがある。そして今回『デイ・トリップ』を聴いてそう思ってしまった。
そう。「空白の3年間」に,もしやパット・メセニー本人も,と勘繰ってしまう。ギター・トリオの前作『TRIO 99→00』と『TRIO LIVE』のリリース時にはそんなことはなかった。もっと言えば『デイ・トリップ』のライブ盤『TOKYO DAY TRIP』では『デイ・トリップ』収録曲は演奏していないし,収録時間の短いミニ・アルバム扱いである。
そう。パット・メセニーとしてもクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスと組んだギター・トリオに絶対の自信を持てなかったのだと思う。
フュージョン・サイドのパット・メセニーがコンポーザーであるならば,ジャズ・サイドのパット・メセニーはギタリスト。つまり『デイ・トリップ』で前面に出るべきなのは“ジャズ・ギタリスト”としてインプロヴィゼーションしまくるパット・メセニーであって然るべき。

クリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスのリズムが完璧すぎで,パット・メセニーに襲いかかる感じではない。全体的に堅実な安定感あるギター・トリオである。
そんな大した苦労なしに上出来すぎた演奏が手に入った部分がパット・メセニーをギター・トリオに熱中させる,そしてギター・トリオに突き動かすまでのパワーにはならなかったのだと思う。つまりは当初の想定通りの演奏のままで終わってしまったということだろう。
もしやパット・メセニーはクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスと組んだギター・トリオを演奏してみて,ラリー・グレナディア&ジェフ・バラードと組んだギター・トリオを懐かしんだのかもしれない。
時系列で整理していくとパット・メセニーは『デイ・トリップ』のレコーディングのわずか2か月後に『メセニー・メルドー・カルテット』をレコーディングしている。ラリー・グレナディアとジェフ・バラードのリズムをパット・メセニーが欲したという事実を見落としてはならない。
『デイ・トリップ』に,そしてクリスチャン・マクブライド&アントニオ・サンチェスの演奏にケチをつけるのは筋違いであるが,パット・メセニーのギター・トリオが予定調和でまとまってしまえば意味がない。
パット・メセニー・マニアからすると『デイ・トリップ』は,新しい編成のギター・トリオでレコーディングした,という記録を残すだけで,あのまんまリリースしなくても良かった1枚だと思う。ジャズ・サイドのパット・メセニーの音楽とはこんなヤワなもんじゃいけない。
…と,ほんの4日前にグラミー・ノミネーションへの信頼を公言した管理人が『デイ・トリップ』に苦言を書いてしまったのは,きっと演奏以外の部分なのだ。パット・メセニーが好きすぎるがゆえの,過去のギター・トリオとの比較のせいなのだと自覚している。

『デイ・トリップ』は名演である。これホントウ。ただし『デイ・トリップ』には,何度聴き返してもパット・メセニーの過去のギター・トリオで感じた,胸躍るような特徴が見当たらない。
要するにパット・メセニー・マニアとしてはパット・メセニーが,新しい編成のギター・トリオに“狂喜乱舞”している姿が見えてこないのが辛口批評の第一要因。
アルバム・タイトル『デイ・トリップ』とは「日帰り旅行」のことである。『デイ・トリップ』はパット・メセニーの恒例行事であるツアーの合間のわずか1日間を利用した「日帰りレコーディング」のことを指している。
たった1日間で,これまでに何度も共演したことのあるベーシストとドラマー相手のレコーディングに新鮮味を覚えることは難しかった。もはや相当な準備を行なってからでないとパット・メセニーが演奏中に“狂喜乱舞”することは少ないであろう。ブラッド・メルドーとの共演を消化してしまった今,パット・メセニーのモチベーションを上げる若手が果たしているのだろうか…。
矢野沙織ちゃん,もうそろそろ出番ですよっ?
01. SON OF THIRTEEN
02. AT LAST YOU'RE HERE
03. LET'S MOVE
04. SNOVA
05. CALVIN'S KEYS
06. IS THIS AMERICA? (katrina 2005)
07. WHATNOT
08. WHEN WE WERE FREE
09. DREAMING TREES
10. THE RED ONE
11. DAY TRIP
PAT METHENY : Guitar
CHRISTIAN McBRIDE : Bass
ANTONIO SANCHEZ : Drums
(ノンサッチ/NONESUCH 2008年発売/WPCR-12820)
(スリーブ・ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)
(スリーブ・ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)
ダビデの治世の初期の出来事(サ二1:1-4:12)
akiko 『アップストリーム』