ニール・ラーセンの『JUNGLE FEVER』(以下『ジャングル・フィーバー』)がなければ,1st「フル・ムーン」は「伝説」のままで終わっただろうし,2nd「フル・ムーン」が誕生することも絶対になかった。
その意味で『ジャングル・フィーバー』は,過去の「フル・ムーン」と未来の「ラーセン=フェイトン・バンド」をつなぐ名盤である。
そんなフュージョンの歴史を知るフュージョン・ファンにとっての重要作である『ジャングル・フィーバー』は“売れるべくして売れた”アルバムだと思う。トミー・リピューマである。
要はニール・ラーセンの“天才”に「時代が追いついた」だけのことである。1st「フル・ムーン」では「早すぎた」ニール・ラーセンの“天才”が,完全に時代の最先端とマッチした。トミー・リピューマである。
“天才”ニール・ラーセンが,こちらも“天才”トミー・リピューマと組んだサウンド・メイクがドンピシャで,ただじっと「時代が追いつく」のを待つのではなく,トミー・リピューマと共に自ら“新しい時代を作りに行った”『ジャングル・フィーバー』で,ついにニール・ラーセンの時代が到来したのであった。
その後の「ラーセン=フェイトン・バンド」での人気ぶりを考えると,ニール・ラーセンの“天才”が『ジャングル・フィーバー』以降“狙って”ヒットを生み出せる“メロディー・メイカー”へと成長したと言えるであろう。
人との出会いが人生最大の財産であるが,ジャズメンにとっては素晴らしいプロデューサーとの出会い,そして本当に気の合う音楽仲間との出会いが財産であろう。
ニール・ラーセンにとっては『ジャングル・フィーバー』でのトミー・リピューマであり「フル・ムーン」でのバジー・フェイトンである。
特にニール・ラーセンのキーボードとバジー・フェイトンのギターとの相性がチリバツすぎて「フル・ムーン」から6年後となるニール・ラーセンにとっての大勝負となる初めてのソロ・アルバムにも,どうしても呼びたかったバジー・フェイトンの「強すぎるギターの音」が刻み込まれている。
ニール・ラーセンのキーボードとバジー・フェイトンのギターが同時に鳴りさえすれば(あっ,地味にベースのウィリー・ウィークスも…)そこはもう「フル・ムーン」を名乗ろうとも「ラーセン=フェイトン・バンド」を名乗ろうともどちらでもいい。これぞフュージョンの「最も美味しい部分」がぎっしりと詰まっている。
“メロディー・メイカー”ニール・ラーセンのオリジナルを,バカテクのメンバーがセッションしながらメロウでポップなフュージョン・ナンバーへとアレンジしていく。
ニール・ラーセンの音楽眼は広い。例えば,同じオルガンも弾くキーボード・プレイヤーであるリチャード・ティーなんかは,一音弾いただけで,それがリチャード・ティーだとすぐに分かるグルーヴを持っているが,ニール・ラーセンの場合は,最初は浅瀬を歩いていただけなのに,曲の進行と共に気が付いたらいつの間にか深みが増しているタイプのグルーヴを持っていて,川の上流から下流への流れを眺めているような感じの音楽眼が素晴らしいと思う。
そんなニール・ラーセンが完成度8割程度の粗目のタッチでグイグイと押し出す美メロを「いっせーの」で,若者風な勢いのあるセッションでアレンジを完成させていくのだが,そこはアメリカ西海岸のフュージョンである。どんなに激しく演奏しても,いつでも“爽やかな風”が吹いている感じで,良質で気持ちの良い演奏が最初から最後まで続いている。
「盟友」バジー・フェイトンとのハイテク・ユニゾンやバトルもあれば,後にフュージョンを席巻することになるベースのウィリー・ウィークスとドラムのアンディー・ニューマークの名コンビ初期の“洗練されきっていない”グルーヴにも萌える〜。
そうして演奏するメンバーの共通言語がジャズではなくジャズ・ロックであるから,ロック少年がジャズの真似してアドリブしている感じが残っていて,そこに絶大なる希少価値を感じてしまうんだよなぁ〜。
そしてマイケル・ブレッカー・ファンとしては,マイケル・ブレッカーのメロディアスなアドリブがたっぷりと聴ける。それだけでも『ジャングル・フィーバー』の評価が高くなるんだよな〜。
そんな『ジャングル・フィーバー』なのだから,管理人の「無人島の10枚」に長らくランクイン。ただし今では『ジャングル・フィーバー』の代わりに「ラーセン=フェイトン・バンド」時代の“最高傑作”『フル・ムーン・ライブ』を持って行く〜。
置き換えの『ジャングル・フィーバー』収録曲は【SUDDEN SAMBA】1曲だけという事実を突っ込まないで〜。
01. SUDDEN SAMBA
02. PROMENADE
03. WINDSONG
04. EMERALD CITY
05. JUNGLE FEVER
06. RED DESERT
07. LAST TANGO IN PARIS
08. FROM A DREAM
NEIL LARSEN : Keyboards
BUZZ FEITEN : Guitar
WILLIE WEEKS : Bass
ANDY NEWMARK : Drums
RALPH MACDONALD : Percussion
MICHAEL BRECKER : Tenor Saxophone
LARRY WILLIAMS : Alto Saxophone, Alto Flute
JERRY HEY : Trumpet, FlugelHorn
ソロモンの神殿(王一5:1-10:29)
akiko 『ホワッツ・ジャズ? -スタイル-』
その意味で『ジャングル・フィーバー』は,過去の「フル・ムーン」と未来の「ラーセン=フェイトン・バンド」をつなぐ名盤である。
そんなフュージョンの歴史を知るフュージョン・ファンにとっての重要作である『ジャングル・フィーバー』は“売れるべくして売れた”アルバムだと思う。トミー・リピューマである。
要はニール・ラーセンの“天才”に「時代が追いついた」だけのことである。1st「フル・ムーン」では「早すぎた」ニール・ラーセンの“天才”が,完全に時代の最先端とマッチした。トミー・リピューマである。
“天才”ニール・ラーセンが,こちらも“天才”トミー・リピューマと組んだサウンド・メイクがドンピシャで,ただじっと「時代が追いつく」のを待つのではなく,トミー・リピューマと共に自ら“新しい時代を作りに行った”『ジャングル・フィーバー』で,ついにニール・ラーセンの時代が到来したのであった。
その後の「ラーセン=フェイトン・バンド」での人気ぶりを考えると,ニール・ラーセンの“天才”が『ジャングル・フィーバー』以降“狙って”ヒットを生み出せる“メロディー・メイカー”へと成長したと言えるであろう。
人との出会いが人生最大の財産であるが,ジャズメンにとっては素晴らしいプロデューサーとの出会い,そして本当に気の合う音楽仲間との出会いが財産であろう。
ニール・ラーセンにとっては『ジャングル・フィーバー』でのトミー・リピューマであり「フル・ムーン」でのバジー・フェイトンである。
特にニール・ラーセンのキーボードとバジー・フェイトンのギターとの相性がチリバツすぎて「フル・ムーン」から6年後となるニール・ラーセンにとっての大勝負となる初めてのソロ・アルバムにも,どうしても呼びたかったバジー・フェイトンの「強すぎるギターの音」が刻み込まれている。
ニール・ラーセンのキーボードとバジー・フェイトンのギターが同時に鳴りさえすれば(あっ,地味にベースのウィリー・ウィークスも…)そこはもう「フル・ムーン」を名乗ろうとも「ラーセン=フェイトン・バンド」を名乗ろうともどちらでもいい。これぞフュージョンの「最も美味しい部分」がぎっしりと詰まっている。
“メロディー・メイカー”ニール・ラーセンのオリジナルを,バカテクのメンバーがセッションしながらメロウでポップなフュージョン・ナンバーへとアレンジしていく。
ニール・ラーセンの音楽眼は広い。例えば,同じオルガンも弾くキーボード・プレイヤーであるリチャード・ティーなんかは,一音弾いただけで,それがリチャード・ティーだとすぐに分かるグルーヴを持っているが,ニール・ラーセンの場合は,最初は浅瀬を歩いていただけなのに,曲の進行と共に気が付いたらいつの間にか深みが増しているタイプのグルーヴを持っていて,川の上流から下流への流れを眺めているような感じの音楽眼が素晴らしいと思う。
そんなニール・ラーセンが完成度8割程度の粗目のタッチでグイグイと押し出す美メロを「いっせーの」で,若者風な勢いのあるセッションでアレンジを完成させていくのだが,そこはアメリカ西海岸のフュージョンである。どんなに激しく演奏しても,いつでも“爽やかな風”が吹いている感じで,良質で気持ちの良い演奏が最初から最後まで続いている。
「盟友」バジー・フェイトンとのハイテク・ユニゾンやバトルもあれば,後にフュージョンを席巻することになるベースのウィリー・ウィークスとドラムのアンディー・ニューマークの名コンビ初期の“洗練されきっていない”グルーヴにも萌える〜。
そうして演奏するメンバーの共通言語がジャズではなくジャズ・ロックであるから,ロック少年がジャズの真似してアドリブしている感じが残っていて,そこに絶大なる希少価値を感じてしまうんだよなぁ〜。
そしてマイケル・ブレッカー・ファンとしては,マイケル・ブレッカーのメロディアスなアドリブがたっぷりと聴ける。それだけでも『ジャングル・フィーバー』の評価が高くなるんだよな〜。
そんな『ジャングル・フィーバー』なのだから,管理人の「無人島の10枚」に長らくランクイン。ただし今では『ジャングル・フィーバー』の代わりに「ラーセン=フェイトン・バンド」時代の“最高傑作”『フル・ムーン・ライブ』を持って行く〜。
置き換えの『ジャングル・フィーバー』収録曲は【SUDDEN SAMBA】1曲だけという事実を突っ込まないで〜。
01. SUDDEN SAMBA
02. PROMENADE
03. WINDSONG
04. EMERALD CITY
05. JUNGLE FEVER
06. RED DESERT
07. LAST TANGO IN PARIS
08. FROM A DREAM
NEIL LARSEN : Keyboards
BUZZ FEITEN : Guitar
WILLIE WEEKS : Bass
ANDY NEWMARK : Drums
RALPH MACDONALD : Percussion
MICHAEL BRECKER : Tenor Saxophone
LARRY WILLIAMS : Alto Saxophone, Alto Flute
JERRY HEY : Trumpet, FlugelHorn
(ホライズン/HORIZON 1978年発売/D32Y3836)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
ソロモンの神殿(王一5:1-10:29)
akiko 『ホワッツ・ジャズ? -スタイル-』