『TWENTY ONE』の1曲目は【RTG】。

 【RTG】とは「ロントニージェリ」の頭文字のこと。則ち,ロン・カータートニー・ウィリアムスと共演することを夢見てきたジェリ・アレンの妄想が形になった書下ろし。イントロから喰い気味でサビが登場する「飛ばしまくった」ピアノから【RTG】に掛けた,強い情熱が聴いて取れる。

 トニー・ウィリアムスが暴れまくるのは当然として,想像以上にロン・カータージェリ・アレンにくっ付いてきている。ロン・カーターが“先回りし”開けたベース・ラインに,トニー・ウィリアムスドラムが打ち込んでくるものだから,ジェリ・アレンとしてはロン・カーターに「並走」されている感覚があったと思う。

 「黄金」のリズム隊を引き離そうとするジェリ・アレンが一層「飛ばしまくる」。というか,バックから煽られっぱなしのジェリ・アレンとしてはこの手の演奏にならざるを得なかったと思う。
 苦悶の表情を浮かべつつも,敬愛するロン・カータートニー・ウィリアムスから追い込まれることがジェリ・アレンの“本望”であろう。

 「スーパー・トリオ」の3人が全力疾走で100m走を駆け抜ける。これでこそ【RTG】則ち「ロントニージェリ」である。

 
GERI ALLEN : Piano
RON CARTER : Bass
TONY WILLIAMS : Drums

TWENTY ONE-1
Twenty One
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



ダビデと神の箱(歴一13:1-16:36)
秋田慎治 『モーメンツ・イン・ライフ