『INTO SOMETHIN’』の2曲目は【PLAZA DE TOROS】(以下【プラザ・デ・トロス】)。

 【プラザ・デ・トロス】は『INTO SOMETHIN’』唯一の異色作。強烈なシンコペーションが飛び交うノリノリのラテンジャズである。

 エルヴィン・ジョーンズが“スパニッシュの旗を振りかざす”シンバル・ワークで全員をリードしていく中,飛び出すのが,ヒステリックなグラント・グリーンギター・ピッキング。
 同じフレーズをラリー・ヤングも直前に繰り出しているのにラリー・ヤングのフレージングは全然印象に残らない。ここは「オルガンコルトレーン」ではなく「ギターコルトレーン」と化した,グラント・グリーンのワンマンぶりが素晴らしい。

 ブルースの“方言”丸出しでアドリブを積み上げていくグラント・グリーンギターに「一日の長」有り。適当に帳尻合わせだけを意識した“本能”丸出しのアドリブがあればこそ『INTO SOMETHIN’』に“魂”が宿っている。

 【プラザ・デ・トロス】でのラリー・ヤングは,絶好調のグラント・グリーンの後ろを歩く「落穂拾い」役であると共に,サム・リヴァーステナーサックスの「スパニッシュ」な先導役。
 ラテンジャズなのに暑苦しさが希薄なのは,ラリー・ヤングが「軽やかで涼し気な風」を常に当て続けているおかげである。リズムを引き締めて“メロディーを聴かせる”ラリー・ヤングの腕前にグラント・グリーンが全幅の信頼を寄せたからこそ完成した名演であろう。

 
SAM RIVERS : Tenor Saxophone
LARRY YOUNG : Organ
GRANT GREEN : Guitar
ELVIN JONES : Drums

INTO SOMETHIN'-1
into somethin'
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勇敢なヨシヤの治世(歴二34:1-35:27)
秋吉敏子 『ライブ・アット・バードランド