
『スーパー・ギター・セッション』は「OTTOTTRIO」名義。オットット〜は,古くは江戸っ子,世代的にはとんねるず〜。「OTTOTTRIO」は現在もゆるく活動は継続しているが,この時は一夜限りのセッション企画のイベント出演のステージング。
個人的には仲がいいのは周知に事実だが,Jーフュージョンを代表するバンドのリーダーとしてライバル関係にある野呂一生と安藤まさひろのギター2本だと「OTTOTTRIO」の実現は難しかったように思う。ここに是方博邦が入っているから3人のギター・セッションとなり俄然バランスが良くなったと思う。
2本ではなく3本になったから「OTTOTTRIO」の売りはギター・バトルではなくアンサンブル。勿論,ギター・ソロもあるにはあるが,全体的な印象は,自分の好きな楽曲を自分の好きに弾かせてもらっています,本当は自分1人でバッキングも同時に演奏したいのですがそれができないので自分に弾けないパートを残る2人にサポートしてもらっています,なのです。
具体的には一人多重録音で演奏できないことはないけれど,1人で遊ぶより2人,2人より3人で遊んだほうが楽しいでしょ?がコンセプト。ゆえに作曲者が編曲も行なうことで自己満足できる仕掛けである。
ただし「OTTOTTRIO」はプロである。アマチュアの余興では人前で演奏できない。ノリで始まったはずなのにもはや遊びの域ではすまされない。本番前には名手3人が3人共結構練習したとみる。
バンドのサポート・メンバーがこれまた素晴らしい。キーボード&シンセサイザーの笹路正徳と吉弘千鶴子,ベースの美久月千晴,ドラムの則竹裕之が,一夜限りと知りながらも最高の演奏でサポートしている。
完璧主義の野呂一生でさえ笑顔が見えてくるようなギターである。地蔵ギターの安藤まさひろでさえ動きが見えてくるようなギターである。是方博邦は…いつも通りのギターである。
そう。「OTTOTTRIO」とは是方博邦がホスト役で,野呂一生と安藤まさひろがゲストのような,カシオペアとT−スクェアでは表現できない「ギター・フュージョンのストレス発散バンド」。これであろう。

こんなにもギターでメロディーをハモって,3本の個性の異なるギターソロを聴かせるバンドが他にあるだろうか! 楽しみながらも火花の散った演奏は,時代劇での殺陣のような演出である。3人が「本気で遊んだ」証拠である。
なお,こんなにも豪華メンバー勢揃いの「OTTOTTRIO」のライブ盤。メンバー7人は異存がなくとも,所属事務所やレコード会社はそうはいかない。
この日のライブが全12曲だったのかは分かりませんがポリドールとCBS/ソニーで6曲ずつ分け合って『SUPER GUITAR SESSION HOT LIVE』と『SUPER GUITAR SESSION RED LIVE』として発売されています。ファンの皆さんは2枚ともGET!
01. BOYS BE AMBITIOUS
02. GUITAR CUBIC
03. PRICIA
04. MR. MOON
05. UE O MUITE ARUKO (SUKIYAKI)
06. WE'RE ALL ALONE
OTTOTTRIO
MASAHIRO ANDOH : Guitar
HIROKUNI KOREKATA : Guitar
ISSEI NORO : Guitar
MASANORI SASAJI : Keyboards, Synthesizers
CHIZUKO YOSHIHIRO : Keyboards, Synthesizers
CHIHARU MIKUZUKI : Bass
HIROYUKI NORITAKE : Drums
(ポリドール/AURA RECORDS 1988年発売/H28P-20255)
ソロモンの治世の栄華(歴二1:1-9:31)
秋山一将 『ディグ・マイ・スタイル』