『CLIFF CRAFT』の1曲目は【LACONIA】(以下【ラコニア】)。

 【ラコニア】のリフが爽快で,トロピカルなリズムと連動する様は,もはやポップスの領域にまで達していると思う。テーマが流れると一気に身体が持って行かれてしまう。
 ただし,それは魅惑のメロディー登場の数十秒だけのこと。メンバーのソロ廻しが始まると,一気にジャズ,しかもブラックなジャズの領域に舞い戻ってくる。

 アート・ファーマートランペットソロは,アート・ファーマーの貴重なミュートトランペットが聴けるだけでホクホクもの。夕暮れ時のトロピカルを演出してくれている。
 続くソニー・クラークピアノソロも,これまたシングル・トーンなオハコ全開で,リゾートではないトロピカルの地形を演出してくれている。

 クリフ・ジョーダンテナーソロは,味わい深いコンフュージョンなテナーソロであり,ずしりと重い重量級ながら軽快なブロウが心地よい,無国籍なトロピカルで火山島を演出してくれている。

 ストレートなリフが旗印であるトロピカル・アイランドの正体とはブラックなジャズ・アイランド。読者の皆さんも是非,自分の頭の中の【ラコニア】島を探してみてください。管理人はすでにイメージが出来上がっていますよっ。噴火口も見つかりましたよっ。

 
ART FARMER : Trumpet
CLIFF JORDAN : Tenor Saxophone
SONNY CLARK : Piano
GEORGE TUCKER : Bass
LOUIS HAYES : Drums

CLIFF CRAFT-1
CLIFF CRAFT
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



エリフが語る(ヨブ32:1-37:24)
秋吉敏子=ルー・タバキンビッグバンド 『塩銀杏