『THORN』の3曲目は【PRELUDIO】(以下【プレリュード】)。

 【プレリュード】が最高にスリリング。スパニッシュな曲調に乗って,高域のアントニオ・ファラオピアノがドライブすれば,中域のジャック・デジョネットドラムが飛び跳ねて,低域のドリュー・グレスベースが前に出ている。

 あたかもピアノ・トリオが2組ダブルで演奏しているかのような幅の広い演奏,かつ繊細な表現にアントニオ・ファラオの“らしさ”を感じる。
 そんな「他人の演奏,我関せず」的な一聴バラバラな演奏なのに,実はちゃんと意思統一ができている。3人が3人とも「そこのスペースは埋めてくれ,ここは俺が全部埋めてやる」的な演奏なのは,ピアノ・トリオの常識的な音空間を拡げるチャレンジに聴こえる。

 事実,今度は「せーの」で近づけるだけ近づいて,音を重ねるテーマのゴキゲン気分が最高で「そう。そこ。やっぱりそこ」を再確認する楽しさがある。
 3人が一緒になって疾走する,54秒からと1分36秒からの前半のテーマ,6分2秒と6分43秒からの後半のテーマがかかると“ルンルン”なのである。アントニオ「皇帝」ファラオ様〜。

 
ANTONIO FARAO : Piano
CHRIS POTTER : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
DREW GRESS : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

THORN-1
THORN
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