『WINELIGHT』の5曲目は【JUST THE TWO OF US】(以下【クリスタルの恋人たち】)。

 【クリスタルの恋人たち】については,スムーズジャズではなくAORの文脈で語られるべき名曲である。
 グローヴァー・ワシントン・JR.の出番は間奏一発のみ。主役はAORど真ん中なビル・ウィザースヴォーカルであり,キュートなコーラス隊であろう。
 ビル・ウィザースの実直でヘタウマっぽい味のあるヴォーカルグローヴァー・ワシントン・JR.の重心の低いテナーサックスとのバランスが秀逸である。

 …と語るのは一般的なAOR批評。【クリスタルの恋人たち】→クリスタルキングの【大都会】から来る!?都会的なイメージを抱くが,実際にはコンガパーカッション,はたまたスティールパンが鳴り響く田舎の都会の音楽である。

 【クリスタルの恋人たち】をスムーズジャズ批評の文脈で語るならば,そんな片田舎の郊外の音楽をニューヨークに近づけるのが,印象的なイントロで知られるリチャード・ティーローズである。
 ラジオで大ヒットしてきた【クリスタルの恋人たち】の法則とは,イントロで注意を掴んで離さなかったリチャード・ティー名演が非常に大きい。
 アダルト・オリエンティックな雰囲気の演奏の中で,唯一煌びやかな希望の光を照らしている。

 
GROVER WASHINGTON, JR. : Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Tenor Saxophone
RALPH MACDONALD : Congas, Percussion, Syndrums
STEVE GADD : Drums
MARCUS MILLER : Bass
ERIC GALE : Guitar
PAUL GRIFFIN : Clavinet
RICHARD TEE : Fender Rhodes
BILL EATON : Oberheim Synthesizer
ED WALSH : Oberheim Synthesizer
ROBERT GREENIDGE : Steel Drums

BILL WITHERS : Vocal
HILDA HARRIS : Background Vocal
YVONNE LEWIS : Background Vocal
ULLANDA MCCULLOUGH : Background Vocal

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WINELIGHT
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第2区分(ミカ3:1-5:15)
天野清継 『BRANCHE