TURN IT OUT-1 ソウライヴは『DOIN’ SOMETHING』が大好きで,同じジャム・バンドであり同じブルーノートのレーベル・メイトでもある「メデスキ,マーティン&ウッドの弟分」だと見なしていた。この見立ては「半分当たりで半分外れ」であった。

 と言うのも,同じジャム・バンドでありながら,メデスキ,マーティン&ウッドの場合は前衛的なアルバム作りを志向しており,スタジオ・ワークだから表現できる,いじりまくったようなサウンド,そこにひねくれたユーモア感覚が共存するのが特徴であるが,ソウライヴの場合はもっとストレートにオルガン・ジャズを演奏していて,でも感覚が若いというか流行と言うかストリートでPOPな音楽が鳴っている。
 「半分外れ」の意味は分かった。では「半分当たり」とは…。

 ソウライヴデビュー盤『TURN IT OUT』(以下『ターン・イット・アウト』)には,メデスキ,マーティン&ウッドの弟分としてのソウライヴがクックリ。
 個人的には『DOIN’ SOMETHING』がソウライヴの1枚目だったので『ターン・イット・アウト』は過去に遡って聴いたことになるのだが,メデスキ,マーティン&ウッドと共に育った管理人のハートを『DOIN’ SOMETHING』以上に撃ち抜いてきた。

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 ソウライヴはスタジオ盤を制作するだけのジャム・バンドではない。「ソウライヴソウルライヴ」とは生粋のライヴ・バンド。ライヴでこそ本領を発揮するイカしたジャム・バンドである。

 そう。『ターン・イット・アウト』が管理人の心に突き刺さった理由は『DOIN’ SOMETHING』には収録されていなかったライヴ音源の3トラック。
 ライヴでのソウライヴが熱くハイテンション! それなのに常に音楽全体を意識的にコントロールするハイセンスが鳴っている!

TURN IT OUT-2 どう聴いてもオルガントリオとは思えない奥深さと即興性と発展性はエリック・クラズノーギターの響き。どこまでもJAZZYでブルージーなフレージングが重なるメロディー・ラインが瞬時に創造されていく。実にセンスのあるギタリストである。

 そうしてやっぱりソウライヴを聴く最大の楽しみは最新のGROOVEである。基本はジャズ・ファンクでありドラムンベースを混じえた,それでいて単音の1音1音が分厚い音符として響き渡るようなアラン・エヴァンスの安定感抜群の最新のドラムが相当なオカズ。

 そこに加わるのがニール・エヴァンスハモンドオルガン。音符を刻んで作るバッキングのGROOVEが凄まじい。本来ならニール・エヴァンスがリードするのがオルガントリオのセオリーなのだろうが,エリック・クラズノーアラン・エヴァンスという主役級が揃い踏みするソウライヴの中にあって,ニール・エヴァンスハモンドが,音楽にアクセントを付けメロディー味付けしながらなぞることで音楽全体をまとめる役割を果たしている。

 そんなソウライヴの特徴が良く出たライヴ録音の3トラックが大好きなのだが,愛聴盤『DOIN’ SOMETHING』の面影を探しながら聴いている,管理人のようなジャム・ファンにはジョン・スコフィールドが参加した2トラックもまた一興。
 ある意味,メデスキ,マーティン&ウッドを越えてしまったソウライヴであるが,ジョン・スコフィールドとの共演を聴くと,まだまだ「メデスキ,マーティン&ウッドの弟分」を感じさせてくれてニヤリである。

 
01. Steppin'
02. Uncle Junior (live)
03. Azucar
04. Tabasco
05. Jesus Children of America (live)
06. Nealization
07. So Live! (live)
08. Arruga de Agua
09. Turn It Out
10. Arruga (reprise)
11. Steppin' Remix

 
SOULIVE
ALAN EVANS : Drums
ERIC KRASNO : Guitar
NEAL EVANS : Hammond B-3 Organ

JOHN SCOFIELD : Guitar
OTEIL BURBRIDGE : Bass
SHUMAN : Vocal
DJ LOGIC : Cuts

(ヴェロア・レコーディングス/VELOUR RECORDINGS 2000年発売/TOCP-65664)
(ライナーノーツ/古賀正恭,ジェフ・パトリック・クラズノー)

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忠実な使徒たちに対するイエスの別れの助言(ヨハ13:1-16:33)
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