
デイヴ・ホランド&ロイ・ヘインズの大物と組んだギター・トリオの『クエスチョン&アンサー』に続いて,ジャック・デジョネット&ハービー・ハンコックの超大物と組んだ『パラレル・リアリティーズ』のレコーディング〜『パラレル・リアリティーズ』のフォロー・ツアーという名目にして,こんな機会でもなければ演奏できないワールド・ツアー。
そんなパット・メセニーの「ジャズ一辺倒」のジャズ・ギターがDVD『DeJOHNETTE,HANCOCK,HOLLAND,METHENY IN CONCERT』(以下『イン・コンサート<HDライヴ>』)に記録されている。
『イン・コンサート<HDライヴ>』は,発売後20年しか経過していないにも関わらず,もはや「永遠の名作として語られて然るべき」伝説のDVDである。
『イン・コンサート<HDライヴ>』の主役は,ドラムのジャック・デジョネットであるが『DeJOHNETTE,HANCOCK,HOLLAND,METHENY IN CONCERT』のタイトル通り『パラレル・リアリティーズ』のフォロー・ツアーに合わせてベースにデイヴ・ホランドが参加したのだが,これも『クエスチョン&アンサー』繋がりでパット・メセニーが呼んだのだろう。
同じくセットリストも【SOLAR】は『クエスチョン&アンサー』で演奏したばっかりだし【THE GOOD LIFE】はパット・メセニーのアイドルであるオーネット・コールマンだし【9 OVER REGGAE】と【THE BAT】を加えた4曲がパット・メセニー関連。
加えてパット・メセニーは以前からハービー・ハンコック好きを公言していたしね…。
それくらいにジャック・デジョネットとしては「喉から手が出る」ほどパット・メセニーのジャズ・ギターが欲しかったのだろう。「ジャズ一辺倒」なパット・メセニーの美音がジャック・デジョネットを突き動かした結果が『イン・コンサート<HDライヴ>』の奇跡へとつながった!
ドラムのジャック・デジョネット,ピアノ&キーボードのハービー・ハンコック,ギターのパット・メセニー,ベースのデイヴ・ホランドが見事にバンド・アンサンブルとして溶け合ったスペシャルすぎるプロジェクト『イン・コンサート<HDライヴ>』が最高すぎる!

『パラレル・リアリティーズ』を聴いているだけでは感じなかった一体感が映像から伝わってくるし,サイドに回ったパット・メセニーが至福の表情を浮かべているが,自分より格上の3人と同じステージで共演できる幸せが込み上げているように見える。
特にシンクロ率の高さで定評のあるライル・メイズとはタイプの異なるハービー・ハンコックのソロに大いに触発されている。
…って,ここまで完全にパット・メセニー批評を軸に書いてきた『イン・コンサート<HDライヴ>』批評。
正直,一番の主役はハービー・ハンコックなのですが,パット・メセニー・ファンであればパット・メセニーグループではボーダーしか羽織らないパット・メセニーのクレイジー・シャツ姿が見れるというだけでも買いですよっ。
PS1 『パラレル・リアリティーズ』批評の方は,ジャック・デジョネット寄り,で書こうと思っています。
PS2 『イン・コンサート<HDライヴ>』の『<HDライヴ>』ってどんな意味?
01. SHADOW DANCE
02. INDINGO DREAMSCAPES
03. 9 OVER REGGAE
04. SOLAR
05. SILVER HOLLOW
06. THE GOOD LIFE
07. BLUE
08. EYE OF THE HURRICANE
09. THE BAT
10. CANTALOUPE ISLAND
JACK DeJOHNETTE : Drums
HERBIE HANCOCK : Piano, Keyboards
DAVE HOLLAND : Basses
PAT METHENY : Guitars
(ビデオアーツ/VIDEOARTS 1991年発売/COBY-90084)
(ライナーノーツ/成田正)
(ライナーノーツ/成田正)
パウロはローマへ行く(使徒27:1-28:31)
和泉宏隆 『6 to 10 morning』