
キース・ジャレットとパット・メセニーのデュエットを考えてみたが,応募しても実現性は薄い,と感じて応募しなかったのだが,今回実際に形になった『MILES FAVORITE SONGS』(以下『マイルス・フェイバリット・ソングス』)の豪華絢爛ぶりを目の当たりにして管理人も応募してみれば良かった,なんて後の祭り〜。本当に実現するんだ〜。本当に実現したんだ〜。
アルバム・プロデューサーとして名前がクレジットされているし,ライナーノーツにもフルネームが登場する,水野均氏発案の『マイルス・フェイバリット・ソングス』は真に「ドリーム・セッション」! 水野均氏おめでとうございます! うらやましいったらありゃしない! 水野家末代までの「家宝」ですね〜!
ただし,採用された企画がマイルス・デイビス・トリビュートだし,どこからともなくスイングジャーナルの香りを感じてしまうのだけがマイナス1点かなぁ。
『マイルス・フェイバリット・ソングス』を「スイングジャーナル・リーダース・プロジェクト」と割り切ることができさえすれば,同じジャズ・ファンとして水野氏の選曲とコンセプトの素晴らしさに全面的に同意する。
水野均氏が選んだジャズメンは大物揃い。トランペットのロイ・ハーグローブとニコラス・ペイトンとエディ・ヘンダーソン,ソプラノ・サックスのグローヴァー・ワシントンJR.,テナー・サックスのジョージ・コールマンとベニー・ゴルソン,ヴァイヴのジョー・ロック,ピアノのジャッキー・バイヤード,ベースのロン・カーター,ドラムのエド・シグペン。
どうですかっ。この選曲にこのメンバー。マイルス・デイビスゆかりの曲を演奏する『マイルス・フェイバリット・ソングス』は「ドリーム・セッション」そのものである。でもどうせだったらウイントン・マルサリス! 水野均氏も,ちょっとだけレコード会社に遠慮があったりする?
『マイルス・フェイバリット・ソングス』が素晴らしいのは,主役であるトランペッター3人を曲に合わせて使い分けたところ!
タイプの異なる大物トランペッター3人を水野氏のイメージに合わせてブッキング。【AUTUMN LEAVES】【I THOUGHT ABOUT YOU】はロイ・ハーグローブ。【SO WHAT】【’ROUND MIDNIGHT】【MY FUNNY VALENTINE】はニコラス・ペイトン。【ALL BLUES】【DAVIS】【DEAR OLD STOCKHOLM】はエディ・ヘンダーソン。このラインナップに水野氏としてはもう笑いが止まらず&涙が止まらないはず!?

個人的に『マイルス・フェイバリット・ソングス』における水野氏の「一番のこだわり」はリズム隊であろう。いずれもレジェンドであるピアノのジャッキー・バイヤード,ベースのロン・カーター,ドラムのエド・シグペンが参加している。
実際にリズム隊でマイルス・デイビスと直に共演したのはロン・カーターだけで,管理人もマイルス・デイビス・トリビュートをやるからにはロン・カーターは外せないと思う口である。
チャールス・ミンガス・コンボ出身でマイルス・デイビスと共演経験のないジャッキー・バイヤードの異次元のアドリブが最高で,ジャッキー・バイヤードのピアノ・ソロばかりを繰り返し聴くようになった。
これぞバンドの外から聞き続けてきたこそ弾くことのできたマイルス・デイビス・トリビュート最大の楽しみであろう。
01. AUTUMN LEAVES
02. SO WHAT
03. ALL BLUES
04. I THOUGHT ABOUT YOU
05. ’ROUND MIDNIGHT
06. DAVIS
07. MY FUNNY VALENTINE
08. DEAR OLD STOCKHOLM
DREAM SESSION '96
ROY HARGROVE : Trumpet
NICHOLAS PAYTON : Trumpet
EDDIE HENDERSON : Trumpet
GROVER WASHINGTON JR. : Soprano Saxophone
GEORGE COLEMAN : Tenor Saxophone
BENNY GOLSON : Tenor Saxophone
JOE LOCKE : Vibraphone
JAKI BYARD : Piano
RON CARTER : Bass
ED THIGPEN : Drums
(メルダック/MELDAC 1996年発売/MECJ-30015)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
「キリストの神聖な奥義」(エフ3:1-21)
和泉宏隆 『COMPLETE SOLO PIANO WORKS V』