
ただし,日本に「スイングジャーナル」誌以外のジャズ雑誌があるように,アメリカにも「ダウンビート」誌以外のジャズ雑誌がある。例えば日本にはジャズ・ライフ誌やアドリブ誌があるし,アメリカには「メトロノーム」誌と「プレイボーイ」誌があるといった具合である。
ジャズ雑誌と来れば「人気投票」。開催は年1回,楽器別に順位が競われる。これがジャズメンは勿論のこと,贔屓のジャズメンに投票する読者の方がワクワク・ドキドキ。AKB48の選抜総選挙並みに盛り上がる〜?
そんなジャズ界の選抜総選挙で選ばれた?メンバーが集まったのが日本の『リーダース・アイディア』であり,アメリカの『THE POLL WINNERS』(以下『ザ・ポール・ウィナーズ』)であった。
読者人気投票で選ばれた,ギターのバーニー・ケッセル,ベースのレイ・ブラウン,ドラムのシェリー・マンによる「夢の企画盤」は『リーダース・アイディア』が「スイングジャーナル」の1誌の結果なのに対し『ザ・ポール・ウィナーズ』は「ダウンビート」「メトロノーム」「プレイボーイ」の3誌で見事第1位を獲得した「夢のギター・トリオ」。悪いはずがない。売れないはずがない。現在でも『ザ・ポール・ウィナーズ』はジャズうんちくの「語り草」となっている。
ただし,今現在,管理人が『ザ・ポール・ウィナーズ』についてうんちくを語るならば,所詮は1956年の流行だった「ウエストコート・ジャズ」の『NO.1』であってモダン・ジャズの『NO.1』ではない」というところ…。
実際に西海岸で何度も共演経験のある3人なのだから『ザ・ポール・ウィナーズ』の相性が良いのは当然のこと。楽曲もジャズ・スタンダード中心で聴きやすい。悪いはずがない。売れないはずがない。でも…。
そう。管理人の『ザ・ポール・ウィナーズ』への不満は,なぜギター・トリオ編成に限ったものなのか? 1956年の人気第1位にはアルト・サックスにポール・デスモンド,トランペットにルイ・アームストロングが選ばれているはないかっ。

この決断はやっぱり当時の流行を考えてのこと。1956年のモダン・ジャズとはウエストコート・ジャズのこと。ハリウッド仕事がジャズメンのメインの仕事だと認識されていた時代のランキング…。
ブルーノートの1500番台がスタートしたのがちょうど1956年のこと。東海岸の“黒い”ジャズこそが管理人の大好きなジャズである。
ジャズ雑誌の投票結果以上に,自身も熱心なジャズ・ファンであったアルフレッド・ライオンの「1人人気投票」の結果の方が日本のジャズ・ファンの総意に色濃い!
01. JORDU
02. SATIN DOLL
03. IT COULD HAPPEN TO YOU
04. MEAN TO ME
05. DON'T WORRY 'BOUT ME
06. GREEN DOLPHIN STREET
07. YOU GO TO MY HEAD
08. MINOR MOOD
09. NAGASAKI
THE POLL WINNERS
BARNEY KESSEL : Guitar
RAY BROWN : Bass
SHELLY MANNE : Drums
(コンテンポラリー/CONTEMPORARY 1957年発売/VICJ-41092)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,山口巧滋)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,山口巧滋)
ふさわしい服従:クリスチャンの闘い(エフ5:21-6:24)
板橋文夫 『RISE&SHINE』